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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『真実一路』の二つの世界

戦前の日本では、その社会は、二つに分かれていた。 西欧近代的なものと日本的封建的なものとである。 それは、大日本帝国憲法にもあり、西欧近代的な君主制の上に、軍事については天皇の統帥権という前近代的なものとして乗っていたのだ。 この矛盾は、昭和初期に顕在化し、陸軍が政治の中に入って行くことで、日本の政党政治を破壊していくのである。...

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『女賭博師さいころ化粧』

市川崑は、「シナリオができて、キャストが決まれば映画は80%はできたも同然だ」と言っているが、まさに面白い脚本に適役が配されれば面白い作品になる。 このシリーズを多作した井上芳夫監督で、脚本は大映の石松愛弘。              甲州の博打の縄張りを掛けたサイコロ勝負があり、善玉の親分の北竜二の代人の男が負け、大坂四郎に「イカサマザイを使った」と言われて自死してしまう。...

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なぜ大映側には、ダイニチ映配マークがないのか

このところ、江波杏子の『女賭博師』シリーズを見ているが、この何本かは、ダイニチ映配から配給されたものである。        当時の日活作品は、今でも冒頭にダイニチのマークがビヨーント出てきて、日活製作になる。 だが、旧大映製作作品は、いきなり大映製作になる。 この違いはどうしてなのだろうか。

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『新女賭博師・壺ぐれ肌』

女賭博師シリーズ17作目で、最終作である。 このシリーズは、東映のヤクザ映画とは異なり、16作が東京撮影所で作られて来たが、これだけ大映京都で作られている。 監督は三隅研次だが、あまり画面は凝っていない。       江波杏子は、冒頭の勝負で負け、屋台のホットドック売りになっていて、賭博師を止め、若い男の水上保広を育てているが、それも悪玉の渡辺文雄のために傷めつけられる。...

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教職員住宅は池上にもあった

浦和での小学生殺人事件の家族は、教職員住宅に住んでいたそうだ。 私の実家、大田区池上にも教職員住宅があった。 これは、1950年代末に矢口から、特殊飲食街が移転してくる話があった。 矢口は、今では高級な住宅になっているが、戦前、戦後は三菱重工等の工場があり、労働者の多い町で、それを相手の「青線」があった。...

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『東海道四谷怪談』

1959年7月に公開された中川信夫監督の映画で、日本映画史上最高の怪談映画とされる名作。 もちろん、見ているがビデオなので、フィルム上映は珍しいので、渋谷のシネマヴェーラに行くと、ずっと3階までの列で、入れるのかと思うがなんとか席を確保できる。 中川信夫監督を偲ぶ、酒豆忌のイベントでもあり、新東宝作品上映の最初の作品。...

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『女たちの庭』

1967年の松竹映画。監督は野村芳太郎で、脚本は永井素夫と井手雅人。 篠田正浩や西河克己によれば、戦後松竹の指導者の城戸四郎は、小津安二郎の映画について、大きな疑問を持っていたらしい。 だが、大船撮影所のスタッフには、小津の映画は絶対だったようで、小津作品に似た要素がよく出てくる。 それは、小津の『晩春』の娘を嫁に行かせる話であり、遺作『秋刀魚の味』のような旧制高校の同級生の交歓の物語である。...

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『青べか物語』

1962年の川島雄三監督作品、原作は山本周五郎で、ほとんど原作通りだと思う。 作家の私・森繁久彌が、ある日、橋を渡って浦粕にやってくる。もちろん、浦安のことで、当時はこんな状態だったと思うと驚く。 1964年ごろから埋立がはじまり、まったく変わってしまったのだから、現在では貴重な映像である。...

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 『トコリの橋』

1954年のハリウッド映画、トコリとは北朝鮮の重要拠点の橋で、そこを襲撃する米海軍大尉のパイロットを描く。 主人公は、大尉のウィリアム・ホールデンで、優秀な戦闘機乗りだが、燃料切れで冬の海に不時着する。 そこを陽気で張り切りボーイのミッキー・ルーニ―のヘリで救助される。...

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『双子座の女』

1984年、日活ロマンポルノ作品の全盛期で、またバブル時代だったことを思い出させる意味はある。 冒頭に砂浜をジョギングしている老婦が倒れる。高山千草さんで、最後の病院の看護婦長は橘田良江さんと日活の女優が出ている。 鎌倉海岸に立つ豪邸に住む若者・南条弘二は、なぜか金持ちで外車に乗って東京の店に行く。...

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『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

近年、見た映画で一番に面白かった。 映画の始まりの方で、変な男が、来てポランスキーに聞く。 「テリーは?」 もちろん、テリー伊藤ではなく、テリー・メルチャーのことである。 そして、彼は実は、先日亡くなられたドリス・デイの息子で、ビーチー・ボーイズらと親交があり、西海岸ではかなり有名な音楽プロデューサーだったのだ。...

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『怪談・インターナショナル版』

この映画『怪談』には、いろいろな版があるらしく、以前新文芸座で見たのは、全体によく分からないものだった。 これは外国用とのことで、分かりやすく編集されているのだと思う。 よく筋が分かった。最後の「茶碗の中」など、前に見た時は、意味が分からず、俺の頭が悪いのかなと思ったくらいだが。 中では、これが怪奇現象で、侍が出たり消えたりして、一番怪談話らしい。 「黒髪」と「雪女」は教訓話で、怪談ではない。...

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『ジョアン・ジルベルトを探して』

ジョアン・ジルベルトの大ファンなので、見に行く。 2003年9月の初来日公演もパシフィコ横浜に見に行ったし、昔からCDも持っている。 だが、この映画は最低である。なにしろ後半はほとんど寝ていたのだから。 筋は、公の場に出なくなったジョアンを探してブラジルをうろうろするだけで、どこにもドラマがない。 大体、ミュージシャンが出なくなったのは、意欲がなくなったからで、それは誰にも分からない。...

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『嫌い、嫌い、嫌い』

1960年の大映作品、原作は源氏鶏太で、脚本は須崎勝弥、監督は枝川弘である。 筋は、新川産業という大財閥で、会長の菅井一郎は、孫の会社世代の長男が家を出てしまったので、妹の金田一敦子にグループ企業から優秀な男を迎えて跡継ぎにしようとする。 非常に古くさい話で、源氏鶏太は住友にいたので、住友のことかと思うがさにあらず。...

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『異邦人』

先週の金曜日、大学の劇団の先輩たちと日暮里で飲んだ。 先輩3人は、Dー倉庫という最低劇場で芝居を見た帰りなのだが、私はこのDー倉庫があまりにひどい劇場なので行かなかったのだ。 そこはまず、入口から階段で受付に行く。そこからなぜか10段くらい降りる。今度はぐるぐると暗い階段を二階まで昇り、やっと客席にたどり着く。...

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『モダン道中・その恋待ったなし』

1958年の松竹映画、銀行員佐田啓二が週刊誌の懸賞に当選し3万円を得て、国鉄の周遊券で東北、北海道の旅行に行く。 自動車修理工場の高橋貞二も、金を貯めて周遊券を買って旅行に出た。 要は、道中記で、「弥次喜多」以来の旅行記もので、1970年代には松竹や東映でフランキー堺や渥美清の「旅行シリーズ」もあり、今テレビでやっている旅行物の元祖だろう。...

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『クレージー香港作戦』

クレージーの映画は多数あるが、これをわざわざ見たのは、1964年の正月に中学の同級生たち男女5、6人と蒲田宝塚で見ているからだ。 ほとんど一人で見る私にはしては、数少ない例外で、誘われたので見に行ったのである。 私は、『海底軍艦』の方に興味があったので、行ったのだ。 見た後はどうしたか、まったく憶えていないが、たぶん喫茶店に入ったように思うが。...

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『女殺し屋・牝犬』

江波杏子が、女賭博師ではなく、女の殺し屋に扮した作品。意外にも上映はなく、今回初めて見た。 大映で、殺し屋といえば、森一生監督、市川雷蔵主演の『ある殺し屋』と『ある殺し屋の鍵』で、この江波版は、『ある殺し屋の鍵』によく似ている。 脚本は、小滝光郎、監督は井上芳夫、音楽も鏑木創とおなじみ。 小料理屋の女主人の江波は、裏の世界では有名な殺し屋である。...

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野田邦弘委員が、辞職

野田邦弘君が、文化庁の委員を辞職したそうだ。いつもの「売名」との声もあるが、これは正しいと思う。 野田君とは、彼が横浜市の教育委員会にいるころからの知合いで、彼が「アートウェーブ」をやった時は、いろいろと勝手なことを言った代わりに、私が「ウォーマッド横浜」を企画した時も、いろいろと意見をいただいた。 今回のあいちトリエンナーレへの文化庁の補助金交付を不交付にしたのはおかしいと思う。...

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時代劇は、昭和初期のことであり、江戸時代のことではないのだ

関西電力の幹部が、元高浜町の助役から、多額の金品を貰っていたのは、本当に驚きで、『水戸黄門』みたいと思うだろう。 だが、これは事実が逆なのである。 時代劇で描かれるような、悪代官と豪商が結託して農民等をいじめるというのは、実は江戸時代には、そうはなかったことなのだ。 徳川幕府は、為政者には厳しい政権で、藩や代官が悪事を行えば、すぐに国替え等をしてしまうものだった。...

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