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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

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近年、見た映画で一番に面白かった。
映画の始まりの方で、変な男が、来てポランスキーに聞く。
「テリーは?」
もちろん、テリー伊藤ではなく、テリー・メルチャーのことである。
そして、彼は実は、先日亡くなられたドリス・デイの息子で、ビーチー・ボーイズらと親交があり、西海岸ではかなり有名な音楽プロデューサーだったのだ。



主役は、落目の二枚目俳優のブラッド・ピットと彼のスタンドインで付け人のレオナルド・デカプリオである。
ブラピは、かつては西部劇の主役だったが、今はテレビ映画で悪役を演じている有様。
1969年で、当時すでにハリウッドでも、作られる作品はテレビ用だったわけだ。
一方、ラブとピースの狂騒時代であり、プレイボーイの創立者ヒュー・ヘフナーのパーティーでは、彼自身はもとより、バニーガールにまじって、『ママス&パパス』の肥満体のキャス・エリオット、美少女ミシエル・フィリップスら音楽関係者、『ローズマリーの赤ちゃん』で一躍有名になったロマン・ポランスキー、そして妻のシャロン・テートらがいる。
この辺のバカ騒ぎも非常に面白い。

レオナルドは、道路でヒッチハイクしている少女に魅かれて、昔撮影で使った牧場に行く。
そこは荒廃していて、持ち主は盲目で、奇妙な連中に課している。
チャールス・マンソンを教祖とする「ファミリー」である。
牧場として、乗馬教室もやっていて、そこの馬に乗っている中年女性は、どこかドリス・デイに似ている。

半年後、ある夜にブラピとレオの家に、ファミリーの連中が襲いにやってくる。
マンソンが、「金持ちは豚だから、殺せ」と予言したからなのだ。
ブラピは、飼っている犬と自身のアクションで連中を撃退し、れおもプールに飛び込んだ女を火炎放射器で焼き殺す。
隣のポランスキーとシャロンテートは無事だが、事実はもちろん逆である。
まだアメリカにはいず、その後もスキャンダル続きだが、ご存命のポランスキーに配慮した結果だろう。

このチャールス・マンソン事件は、ラブ&ピースのフリーセックス時代を止め、さらに後のエイズの蔓延で、完全にフリーセックスはだめになってしまう。
日本で言えば、1972年の連合赤軍事件のような衝撃を与えた事件だったのだ。
世界的に見れば、カルト教団の起こした事件としては、オウム真理教事件の先駆けだったのかもしれない。
上大岡東宝シネマズ

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