『土俵物語』
1958年の大映映画で、相撲の房錦と父親の行司式守錦太夫との親子関係を描く作品。 房錦は、「黒い弾丸」と言われてかなり人気があり、また彼の父親が行司という非常に珍しい関係で話題となっていたので作られたもの。 相撲の映画は結構あり、若の花(初代)が主人公の映画もあった。 また、各場所の模様は、日活で前半戦、後半戦と言う形で公開されていた。...
View Article『題名のない音楽会』が嫌いになった理由が分かった
ネットで、昔の『題名のない音楽会』を見て、これが嫌いになった理由を思いだした。 気障な黛敏郎の言い口は気になっていたが、中身は大変に面白いので、12チャンネル時代から見ていた。 その後現在に至るまで、長くテレビ朝日で放映されているので、元は東京12チャンネルで放送されていたことなど、皆知らないに違いないが、初めは12チャンネルだったのだ。 だが、あるころから見るのが嫌になった。...
View Article斉藤晴彦の『ベートーベン人生劇場』
『題名のない音楽会』で、斉藤晴彦の『ベートーベン人生劇場』を見た。 小沢昭一がやったのは見たが、これは見ていなかった。 斉藤は、黒テントを代表する役者で、私は好きだったが、2014年に亡くなられてしまった。その頃は、黒テントの代表も務めていたようで、非常に残念なことだった。...
View Article『日本戦歿学生の手記 きけ、わだつみの声(1950)』
昔、テレビで見て暗い映画としか記憶がなったが、今回見てみるとそう悪くはない出来である。 インパールの地図が出てきて、これはインパール作戦のことなのかと気づく。 二等兵の信欣三と花沢徳衛が泥沼を歩いていて、兵の集まりに会う。悪辣な河野秋武で、いつもは善玉の河野が悪玉と言うのは珍しい。 そこは、一つの兵士が集まっていて、きちんと部隊長と呼ばれる男もいて偉そうにしている。...
View Article『三島由紀夫VS東大全共闘』
コロナで休館となっていた横浜の映画館が再開したので、伊勢佐木町の横浜シネマリンに行く。 館内は、コロナ対策で、数席おきになっていた。 1969年5月、東大教養学部の大教室で、東大全共闘主催の「焚祭」が行われ、その一つとして三島由紀夫との討論会が行われた。 以前、その音声テープをもらったことがあるが、映像はもちろん初めて。...
View Article『富士に誓う 陸軍少年戦車隊訓練の記録』
30年前、富士宮の貿易研修センターで、英語の研究を受けた。 その近くの平原に戦車の残骸が放置されていた。 そこは、富士の裾野にあった少年戦車学校の近くで、「これが少年戦車学校か」と思った。 2トン車トラックくらいの大きさで、 「こんな小さなタンクで戦わされたのか」とも思った。 もちろん、訓練用で、実戦のタンクとは違うのだろうが、本当に小さかった。...
View Article『地獄の曲がり角』
1959年の蔵原惟義監督の日活作品、主役は葉山良二と稲垣美穂子。 冒頭は、部屋でダイスが行われていて、「最近ついているんだ」と葉山が強気の勝負をしている。 他は、大泉滉、近藤宏、柳瀬志郎などで、彼らはホテルのボーイである。 場所は、横浜らしいが、外観は横浜ではないようだ。全体としては中区の万国橋と北仲通り付近で撮影している。...
View Article『FUKUSHIMA 50』
フクシマ50とは、言うまでもなく2009年3月11日に起きた東日本大震災と福島の原発事故である。 これは、日本の近代史に残る大事件だが、これを映画化すると、お涙頂戴の浪花節になってしまうのには唖然とした。 主人公は、吉田署長を演じる渡辺健、そして当直長の加藤浩市である。 原発事故が起きて、原子炉の冷却水が作用しなくり、炉内の温度が急上昇し、水素爆発の危険が起きる。...
View Article返送先で思いだしたこと
定額給付金の書類が来たので、ありがたくいただく旨にして変奏するが、返送先は神奈川区浦島町の日本郵政のビルだった。 ここは、出田町ふ頭の入口で、当初は郵便番号システムの施設だったが、様々な用途に使われているようだ。 この施設の開業式に行ったことを思いだした。 それは、副議長だった川俣勝一先生に随行して行った。...
View Article『青春デンデケデケデケ』
大林宜彦の作品で見ていないので、横浜シネマリンに行く。 1965年3月、香川県観音寺の少年藤原竹春は、ベンチャーズの「テケテケ」に打たれて、ロックに目覚め、4月には公立高校に進学する。 そして、3人のメンバーを集めてバンドを作る。 彼の父親平田満は、高校教師で前衛俳句の俳人でもあり、今は主婦の母根岸俊恵も以前は高校教師で、職場で平田と知り合って結婚したのだ。...
View Article『兵隊さん』
1944年の朝鮮陸軍報道部作品、出ている役者は全部朝鮮の俳優で、監督もパン・ハンジュンという朝鮮の人。 主人公は二人いて、都市出身の若者と農村の男。 冒頭に、両親に総督から手紙が来て家族が感動している。 朝鮮では徴兵制は行われず、志願制だったので、志願した子に感謝しているのだろう。 話は、併営に入って日常生活を描くもので、あまり厳しい訓練は行われない。...
View Article『洛陽』
1992年、ロマンポルノで生延びてきた日活(当時はにっかつになっていたが)、その最後の作品。 50億円の大作で、原作、監督は伴野朗だが、素人の彼に撮れるはずもなく、監修の藤浦敦が監督したとのこと。 一応、総指揮は会長の根本悌二となっているが、実際はアメリカにいて、社長の若松正雄が経営していたらしい。...
View Article『ローラ』
1960年、ジャック・ドミーの初長編作品。ジャック・ドミーと言えば、『シェルブールの雨傘』『ロシュフォールの恋人たち』なので、ミュージカルかと思うとさにあらず。 港町のナントのキャバレーの踊子アヌーク・エーメは、7年前に愛してできた子と暮らしているが、ある日幼馴染の男と再会する。 男は、アヌク・エーメと一緒に外国に行こうとしている。...
View Article『浅草の侠客』
1963年の東映映画、主演は村田英雄、他に藤田佳子、千葉真一、宮園純子、杉浦直樹など。 タイトルが出て、大正10年ごろの浅草観音の付近のことだ。 境内で、街頭演歌士の村田が演歌を歌い、終わること助手が歌本を撃っている。 当時の演歌士は、歌本を売って生計をたてていたので、まさにコピーライトである。 この後に、レコード産業がい大きくなり、レコードを売ることで音楽は流通することになる。...
View Article佐伯清について
加藤泰を別にして、東映の監督で好きだったのが、佐伯清だった。 佐伯は、抒情的な作風が良く、東映でも大ヒットの『昭和残侠伝』シリーズを始めた人なのだ。 『昭和残侠伝・一匹狼』を新宿昭和館で見た時、非常に驚いた。 主役の高倉健、池部良、さらに相手役の扇千景、藤純子の他、非常に登場人物の少ない作品で、舞台の町も非常に静謐で静かな雰囲気なのだ。...
View Article加藤茂雄さん死去
元東宝の俳優だった加藤茂雄さんが、亡くなられたそうだ、94歳。 加藤さんは、鎌倉で生まれ、戦後鎌倉アカデミアに入り、同校が閉鎖された後、東宝の俳優になられた。 俳優と言っても、所謂「大部屋俳優」であり、長い台詞のある役は、東宝時代にはほとんどない。 森繁久彌などの作品で、主人公たちが寿司屋などに行くと、そこの板前で働いていると言った役を演じていた。...
View Article『エベレスト 神々の山嶺』
私は、生来苦しいこと、つらいことが大嫌いなので、山登りもまったく縁がない。 登ったことがあるのは、高尾山と大楠山だけで、ピクニック程度である。大楠山では、山頂で中学の同級生の女の子たちとフォークダンスをしたくらいだ。...
View Article『アメリカン・ドリーマー』
最近、映画や芝居を見に行って寝ることがあるが、それは私ではなく、作品が悪いと思うことにしている。 これも、始まってすぐに眠ってしまって、全体の半分くらいしか起きていなかったが、その程度の映画だと思う。 1971年、時代の寵児のデニス・ホッパーは自身のドキュメンタリー製作に着手する。 場所は、D・H・ロレーンスの別荘だったところとのこと。 小さなトラブル等が起きて描かれるが、到底ドラマにはならない。...
View Article買収にならない金の渡し方
広島の河井夫妻が、選挙違反で逮捕された。元法務大臣が逮捕されるというのは、ブラックユーモアで笑える。 昔、ある区にいた時、選挙に詳しい係長に聞いたのは、買収にならない金の渡し方である。 それは、なにか仕事、道路を掃除してくれたとか、植木を剪定してくれたという名目で、報酬を払えばよいのだそうだ。 「へえー」と驚いたが、これはたしかに実際に行為が行われていれば、それは報酬であり、買収ではない。...
View Article『コリーニ事件』
阪神が連敗して、3戦目も到底勝てるのとは思えないので、映画を見に行く。 ドイツ映画で、新任の弁護士ライネンが引き受けたのは、大物財界人射殺の犯人で、彼は黙秘していて殺害理由を言わない。 被害者は、トルコ人のライネンを育ててくれた恩人。 だが、事件の犯人のイタリア人を調べていくと、戦時中のイタリアでのナチの住民虐殺事件が分かり、被害者は親衛隊員であることが明らかにされる。...
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