昔、テレビで見て暗い映画としか記憶がなったが、今回見てみるとそう悪くはない出来である。
インパールの地図が出てきて、これはインパール作戦のことなのかと気づく。
二等兵の信欣三と花沢徳衛が泥沼を歩いていて、兵の集まりに会う。悪辣な河野秋武で、いつもは善玉の河野が悪玉と言うのは珍しい。
そこは、一つの兵士が集まっていて、きちんと部隊長と呼ばれる男もいて偉そうにしている。
下士官が現れて「先生!」と信欣三のことを言う。
沼田陽一は学徒兵なので、二等兵の信より上官なのである。
花沢は言う「地方でどんなに偉くても、ここでは兵の序列だ」
その通りで、帝国陸海軍は、日本社会の階級制度とは別で、その意味では平等だったわけで、丸山眞男大先生も二等兵だった。
この矛盾を描いた映画に渥美清の『拝啓天皇陛下様』があり、大変に痛快な喜劇だった。
信欣三は、東大の助教授でフランス文学、モンテーニュを沼田らに教えていた。
無知な団長は聞く、「フランスで一番偉いのは、シェークスピアか!」
笑えないギャグだが、本当だろうか。
信は、河合事件には反対せず、沼田は反対運動をするが簡単につぶされていた。
そこは結構大きな集団で、ニワトリを撃ってきて食べるなどの挿話があるが、終わりに司令部から、移動と突撃命令が来て、部隊は移動する。
だが、もちろん傷病兵もいて、それは置いていくことにする。
元左翼学生の伊豆肇もいて、彼は飢えた兵隊のため、部隊長の馬を殺して皆で食べてしまう。
人が死ぬと身ぐるみはいで、ついには肉を切って食べたそうで、人肉食は、大岡昇平のレイテ島だけではなく、インパールでもあったようだ。
英軍は、戦争当初とは異なり、軍備も戦意も高くなっていて、日本軍は到底相手ではなかったなかったのだ。
最後、移動の途中で河野と長は逃げ出すが、彼らも英国軍の砲弾にやられる。
他の連中も砲弾の餌食になって終わり。
戦没学生の手記なので、あの学徒出陣のフィルムと、兵隊の泥濘の歩みが重ねられている。
これの製作担当は、岡田茂で、脚本は舟橋和夫、監督は関川秀雄で、後の『いれずみ無残』のような無残な出来ではないのは、当然だろう。
関川の監督デビュー作のように思われているが、彼は本当は東宝航空教育資料製作所で、1944年に戦意高揚映画『大いなる翼』が初監督作なのである。
インパールの地図が出てきて、これはインパール作戦のことなのかと気づく。
二等兵の信欣三と花沢徳衛が泥沼を歩いていて、兵の集まりに会う。悪辣な河野秋武で、いつもは善玉の河野が悪玉と言うのは珍しい。
そこは、一つの兵士が集まっていて、きちんと部隊長と呼ばれる男もいて偉そうにしている。
下士官が現れて「先生!」と信欣三のことを言う。
沼田陽一は学徒兵なので、二等兵の信より上官なのである。
花沢は言う「地方でどんなに偉くても、ここでは兵の序列だ」
その通りで、帝国陸海軍は、日本社会の階級制度とは別で、その意味では平等だったわけで、丸山眞男大先生も二等兵だった。
この矛盾を描いた映画に渥美清の『拝啓天皇陛下様』があり、大変に痛快な喜劇だった。
信欣三は、東大の助教授でフランス文学、モンテーニュを沼田らに教えていた。
無知な団長は聞く、「フランスで一番偉いのは、シェークスピアか!」
笑えないギャグだが、本当だろうか。
信は、河合事件には反対せず、沼田は反対運動をするが簡単につぶされていた。
そこは結構大きな集団で、ニワトリを撃ってきて食べるなどの挿話があるが、終わりに司令部から、移動と突撃命令が来て、部隊は移動する。
だが、もちろん傷病兵もいて、それは置いていくことにする。
元左翼学生の伊豆肇もいて、彼は飢えた兵隊のため、部隊長の馬を殺して皆で食べてしまう。
人が死ぬと身ぐるみはいで、ついには肉を切って食べたそうで、人肉食は、大岡昇平のレイテ島だけではなく、インパールでもあったようだ。
英軍は、戦争当初とは異なり、軍備も戦意も高くなっていて、日本軍は到底相手ではなかったなかったのだ。
最後、移動の途中で河野と長は逃げ出すが、彼らも英国軍の砲弾にやられる。
他の連中も砲弾の餌食になって終わり。
戦没学生の手記なので、あの学徒出陣のフィルムと、兵隊の泥濘の歩みが重ねられている。
これの製作担当は、岡田茂で、脚本は舟橋和夫、監督は関川秀雄で、後の『いれずみ無残』のような無残な出来ではないのは、当然だろう。
関川の監督デビュー作のように思われているが、彼は本当は東宝航空教育資料製作所で、1944年に戦意高揚映画『大いなる翼』が初監督作なのである。