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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『浅草の侠客』

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1963年の東映映画、主演は村田英雄、他に藤田佳子、千葉真一、宮園純子、杉浦直樹など。
タイトルが出て、大正10年ごろの浅草観音の付近のことだ。
境内で、街頭演歌士の村田が演歌を歌い、終わること助手が歌本を撃っている。
当時の演歌士は、歌本を売って生計をたてていたので、まさにコピーライトである。
この後に、レコード産業がい大きくなり、レコードを売ることで音楽は流通することになる。
村田は、浅草の古くからあるヤクザの組員だが、その組は衰退していて、組員は村田一人。山田巳之助が組長と言うのが良い。
この人は、東宝系の役者だが、いつも因業な親父役でいい。
山田らに対立するのは、元は山田のところにいた沢彰謙、この人もいかつい顔で悪役専門。
落ち目の山田から自立して今は、勢力を誇っているが、代貸の杉浦直樹は、村田とは密かに気脈を通じている。

村田らは、オペラ座も縄張りにしていて、女座長が筑波久子とは珍しい。そこには、12階で女衒の手から救って歌劇団に入れた宮園純子もいる。
ある日、村田は地回りに苛められている男の千葉真一を救う。すると名古屋から、千葉を追う連中が来て、千葉は自分たちの親分の愛人とできて逃げてきたとんでもない奴だという。
村田と彼らが下宿しているおでん屋の娘藤田佳子、オペラ座の宮園純子との三角関係があるが、話は非常に詰まらない。
それは、当然で脚本はマツケンこと松浦健郎だからで、多分多くいる弟子に書かせたものなのだろう。
沢井真一郎の本では、監督のマキノ雅弘は、マツケンの脚本が気に入らず、毎日直したと言うのだ。
だが、ここでは直しがなくそのまま撮ったのだと思う。
そして、山田が死に、全国の親分を集めての葬式があるが、そこでも沢の吝嗇が発揮されて、杉浦は愛想をつかす。
ここでは、神田隆がさすがに長台詞をこなす。
最後、沢は、観音の境内で喧嘩を仕掛けるが、村田と彼の側に寝返った杉浦によって、沢たちは負ける。
千葉は、宮園と彼女の故郷の秋田に無事行くくことになって終わり。

このつまらない筋をなぜ長々と書いたかと言えば、この村田英雄と杉浦直樹の関係は、佐伯清監督の『昭和残侠伝』の高倉健と池部良になるからである。
つまり、ヒット作には、様々な試行錯誤があり、その上でできると言うことである。

衛星劇場


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