1992年、ロマンポルノで生延びてきた日活(当時はにっかつになっていたが)、その最後の作品。
50億円の大作で、原作、監督は伴野朗だが、素人の彼に撮れるはずもなく、監修の藤浦敦が監督したとのこと。
一応、総指揮は会長の根本悌二となっているが、実際はアメリカにいて、社長の若松正雄が経営していたらしい。
話は、昭和3年から20年までと長いもので、また登場人物も多いので、途中で人間関係が分からなくなる。
宍戸錠なども、30分以上過ぎてから再度出てくるので、「これは誰か」と思ってしまう。
その他、川治民夫や芦田伸介らの元日活作品の役者も出ているが、俳優の売りは加藤雅也とダイアン・レインだが、どちらも暗いので面白くならない。
ドナルド・サザーランドなど、いったい何のために出てくるのか大変に不思議。
藤浦家は、落語の三遊亭の宗家なので、立川談志の他、玉川カルテットなどが出てくるが、小島三児の汪兆銘はやりすぎだろう。もちろん、山下将軍は水野晴男の名演技。談志は、「これでつぶれるのだから」と飲めや歌えで金を使わせたと言っていたと思う。
石原莞爾の後任の将校は、私の大学の先輩の志村智雄さんで、当時は前進座の俳優だった。彼も、「これはひどい撮影だった」と言っていた。
配収は5億円で、このために倒産したと言われている。
だが、藤浦の本では、結構ヒットしていたが、この辺で倒産させなといと、藤浦一族の支配が強くなるので、これで倒産させたとのこと。
私は、公開時に伊勢佐木町の日活会館で見たが、半分くらいの入りで、大赤字ではなかったように見えた。