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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『青春デンデケデケデケ』

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大林宜彦の作品で見ていないので、横浜シネマリンに行く。
1965年3月、香川県観音寺の少年藤原竹春は、ベンチャーズの「テケテケ」に打たれて、ロックに目覚め、4月には公立高校に進学する。
そして、3人のメンバーを集めてバンドを作る。
彼の父親平田満は、高校教師で前衛俳句の俳人でもあり、今は主婦の母根岸俊恵も以前は高校教師で、職場で平田と知り合って結婚したのだ。
いずれにしても、地方の普通の人間と高校生の日常が描かれているところがユニークであり、非常に好ましい。
日本映画は、時代劇を除けば圧倒的に東京の映画が多く、地方都市を舞台とする作品は極めて少ない。

さらに、電気少年と知り合い、彼の力でアンプが入手され、バンドの形が整い、文化祭で公演をし、大成功する。
この時に、準備のために前夜泊まり込むシーンがあり、そんなことは一切なかった東京のまじめな都立高校生の身としては、非常にうらやましい気がした。もっとも、私は小山台高校になんの愛着もなかったので、泊まりこむと言う発想もなかったのだが。
そして、12月のクリスマスの夜、新たにできた店の披露で演奏し、これには町中の人が来て大盛り上がりになる。
最後、主人公は一人、受験のために東京に行く。
他のメンバーは、地元で就職するのだろうが、当時はまだそんな程度の大学進学率だったのだ。



非常に面白かったが、一番笑ったのが、好きな女優と聞かれて「ジェーン・マンスフィールド」と答えるところで一人で大笑いした。
彼女は、アメリカの巨乳女優の魁で、「胸はでかいがバカな女」の典型だったが、本当は知的な女性だったようだ。
さらに、バンドの顧問になってくれた岸部一徳が、失恋の結婚式で酔って歌うのが『銀座9丁目は水の上』であること。
この神戸一郎は、結構ヒット曲もあるので、映画出演もあるのだが、言ってみれば高倉健を水商売の男にしたような感じで、大変に気持ち悪いのだ。
名前のとおり、神戸生まれなので、西日本には人気があったのかもしれない。
大変によくできた楽しめる映画だが、この膨大な曲の著作権使用料は大変だったろうなと同情した。


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