1958年の大映映画で、相撲の房錦と父親の行司式守錦太夫との親子関係を描く作品。
房錦は、「黒い弾丸」と言われてかなり人気があり、また彼の父親が行司という非常に珍しい関係で話題となっていたので作られたもの。
相撲の映画は結構あり、若の花(初代)が主人公の映画もあった。
また、各場所の模様は、日活で前半戦、後半戦と言う形で公開されていた。
テレビも十分に普及していなかった1950年代当時、相撲の映画は大変に人気があったのだ。
戦後、房錦となる桜井少年は、医者を目指していたが、ある日友人(後で丸井太郎が演じる)との話から、相撲取りになることを決意する。
父の行司式守錦太夫(見明凡太郎)も、特に母親の村瀬幸子は強く反対するが、若松部屋に入門する。
厳しい稽古のなかで、次第に出世し、二段目からは、房錦本人(当初は小櫻)が演じていく。
本場所の他、地方巡業の様子も出てくるが、本物の土俵の他、ただの土の上で稽古するのも出てくるのには驚く。
朝汐も出てきて、小櫻に稽古をつけたりする。
二段目では、親友も辞めて部屋を去り、小櫻自身も自信を失って実家に戻ってきてしまう。
母は、彼が好物のカレーライスを食べさせ、父は家に戻ってきて、元気づけ、小櫻を改名して房錦にする。
また、入幕してからは、栃錦も出てくるが、本番での取り組みでは本人ではなく、大映の俳優の浜口喜博になっているのは、多分彼には多少の台詞と演技があるからだろう。
ちなみに浜口も、元オリンピック選手で、後の飯島に至るまで、大映の永田雅一は、有名選手が好きだった。
最後、初入幕で優勝争いになり、11日目に父の行司の日に負けてしまうが、千秋楽には勝って父の声で勝ち名乗りをもらう。
房錦は、非常に子供に人気があった力士で、蔵前国技館では子供の姿が多く描かれている。
最後は、関脇まで上がったそうで、それなりの力のあった力士と言えるだろう。
監督の村山光男は、房錦には、ほとんど台詞を言わせず、周囲の役者から台詞を掛けられるようにしていてドラマを作っている。
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