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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『流転の王妃』

昔、テレビで見て、結構いい映画だと思っていたが、あらためて見るとただのきれいごと映画だった。 菅原家の娘京マチ子は、満州国皇帝愛新覚羅溥儀の弟溥哲・船越英二の嫁にと嘱望され、始めは満人のところにやれるかと思っていた父母や祖母も、溥哲の素直で優しい人柄に安心し結婚を認める。 関東軍の御用係の軍人が石黒達也で、非常に良い。溥儀や周囲の者は、中国人俳優のようで、満州での会話は中国語になる。...

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田中絹代の監督作品

女優の田中絹代は、次の作品を監督している。 彼女は、日本で最初の女性の長編劇映画監督だった。戦前には、坂根田鶴子が中編『初姿』を撮っていたが、その1本だけで、その後は記録映画監督になり、戦後は溝口健二のスクリプターをやっていた。 田中絹代は、成瀬巳喜男の大映での『あにいもうと』に助監督として付き、「助監督修業」をして丹羽文雄原作の『恋文』の撮影に臨んだ。...

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『浅草の夜』

1954年の島耕二の脚本・監督作品で、もちろん大映。 浅草の劇場の踊子が京マチ子、妹で浦辺粂子のおでん屋を手伝っているのは若尾文子。これは京マチ子と鶴田浩二の共演が売りの映画で、鶴田はその劇場の新進作家で、京マチ子と愛し合っている。                  若尾は、若い画家の根上淳と恋仲だが、やくざの高松英雄が邪魔をしている。また、京マチ子は、この若尾と根上の結婚に強く反対している。...

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中学のときによく言われたことに・・・

たぶん、中学の頃だと思うが、よく同級生に言われたことに次のようなことがあった。 「昔々は、一つの家族だったので、日本人は全部天皇家と同じ家族だ」 いつも本当かなと思っていた。      その通りで、縄文時代でも日本全体の人口は、20万人くらいだったそうで、縄文時代は1万年も続いているのだ。 当然、天皇家と日本人全体が一家であったわけはないのだ。  

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『新東宝1947-1961』 ダーティー・工藤(ワイズ出版)

最近、読んだ本で一番面白かった。                     内容は、新東宝の監督、俳優、脚本家などへのインタビューで、『映画論叢』に掲載されたものの再録が多いが、こうして1冊になるのはうれしいことだ。...

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『狂った一頁』

昔の映画を見て、一番違和感を持つのは、精神病者と病院を描いたところだ。 それは、戦後も同じで黒澤明の『生きものの記録』の最後の三船敏郎が入院されている病院もそうだ。 と言って、私は、精神病院に行った経験はないが。 この日本映画史上で有名な作品が弁士付きで上映されるというので、日本近代文学館に行く。...

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『青春の蹉跌』

萩原健一が死んだそうだ、68歳。 彼が出た映画で一番なのは、神代辰巳監督の『青春の蹉跌』だろう。 冒頭の磯子プリンスホテルの屋外プールで、ローラースケートを履いて掃除をするところからアンニュイな雰囲気だった。 井上堯之の音楽もよく、傑作だったと思う。 この作品が傑作となったのは、萩原も、神代もモテモテ男だが、かなりいい加減な性格のとろこがあり、それが上手く合ったからだろうと思う。...

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『荒い海』

この1969年公開の作品を見た人は、そう多くはないに違いない。 この頃の日活の低迷はひどく、唯一のヒットは『無頼シリーズ』だけで、東映をまねしたやくざ映画、ピンクまがいの『女浮世風呂』など大混乱だった。中で、密かに公開されたのが、この『荒い海』だった。 話は、大学で挫折して故郷に戻ってきた渡哲也は、兄の漁師と喧嘩になるが、先輩の高橋英樹と再会し、彼が乗り組んでいる捕鯨船に乗り込むことになる。...

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『はじまりのみち』

木下恵介が、1998年12月30日に亡くなったとき、12月31日の『NHK紅白歌合戦』の最後で、久保純子アナウンサーが、 「キノケイ監督が亡くなられた」と言った。その時、私は思った「クボジュンは、木下恵介を知らないのだな」と。以前、横浜映画祭代表の鈴村たけしさんも、「木下恵介をみんなが忘れているのはおかしい」と言っていたがその通りだと思う。...

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『赤線の灯は消えず』

赤線問題の名作溝口健二の大映が、昭和33年3月の赤線廃止後の、女性たちの姿を描いた作品を作ったというのは、随分と皮肉なことである。 その翌年後の、おそらくは吉原の元の店に、京マチ子が実家から戻ってきたところから始まる。 若手の野添ひとみも、足を洗い堅気になろうとするがなかなかうまく行かない、彼女らの苦闘。 婦人相談所とその婦人更生寮から出て、京は、まず玩具工場で働く。...

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『アウトロー女優の挽歌』 藤木TDC(洋泉社)

ここの中心は、1970年代に東映が作ったスケバン、つまり女番長シリーズで、実を言うと私はあまり見ていない。東映が作った現代劇は、京都撮影所が作る「ヤクザ映画」にくらべて安直で、よいものがなかったからである。1960年代末から70年代初頭は、東映のヤクザ映画の全盛期で、鶴田浩二、高倉健、そして藤純子らの様式的で美しい作品が揃っていた。...

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工藤栄一だった 『高瀬舟』

『高瀬舟』を最初に読んだのは、たぶん中学生の頃だと思うが、「殺人の場面」だけが記憶に残っていた。 この森鴎外の小説は、安楽死を提起したといわれているが、今日で考えれば自殺ほう助である。 京の高瀬川を下る船の中で、役人の前田吟に殺人犯の岡田吉弘が自分と弟との経緯を語る。 川の両側の庶民の姿が細かく描写されているのは、脚本の松山善三らしいなと思う。...

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『津軽のカマリ』

初代高橋竹山を追ったドキュメンタリーが今日までだというので、シネマジャックに行く。 1960年代末から、津軽三味線の高橋は、渋谷のジャンジャン等の劇場で人気だったが、見たことはない。 亡くなられて20年とのこと。 元高橋竹世で、初代から二代目襲名を許された高橋竹山が全国を廻る。 その間に、初代が得た体験が挿入されるが、やはり戦時中のことが印象的である。...

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「こんにゃく相場」

こんにやくに相場があると聞いたのは、当時農協中央会に勤める義兄(二番目の姉の夫)からだった。 義兄は、北海道羊蹄山の近くの小さな村の生まれで、優秀だったのだろう、その村で最初に大学に入った人だったそうだ。 北大農学部時代は、学生運動もやっていて、そのために北海道では就職できず、東京の農協中央会に入った。 非常にまじめな方だったが、大変に酒に強く、正月などで会うと、我々とは一桁違う酒量だった。...

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メロドラマの作りにくい時代になる 『あの橋の袂で』

来週にするイベントのために、旧作を見ているが、中で1962年の松竹の『あの橋の袂で』全4部作を見るが、非常に面白いので感心する。 ともかく、様々な脇役がいいので、見ていた飽きない。               娯楽映画で重要なのは、脇や悪役の存在で、彼らがきちんと演じてくれれば、主役はただいるだけでよい。 ここでは桑野みゆきと園井啓介で、典型的なメロドラマの主役を生き生きと演じている。...

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横浜ドリームランドだった 『めぐりあい』

昨日に続き、1968年の『めぐりあい』を見る。 川崎の貧しい男女の話で、黒沢年男と酒井和歌子、ダンプカーの上のキッスで有名な恩地日出夫監督作品、脚本は山田信夫。 黒澤は、自動車工場(日産のようだ)、酒井は、若宮大佑の小さなベアリング店で働いている。 川崎駅前の京浜急行は高架になっているが、駅前広場は今と随分と異なる。 武満徹の音楽が抒情的で美しい。歌は荒木一郎。...

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絵解き

日曜日の東京新聞の「生きる」に現役の「絵解き師」の岡沢恭子さんが書かれていた。 岡沢さんは、長野の長谷寺の住職の夫人であると共に、絵解きを全国でやっておられるのだそうだ。 絵解きとは、釈迦涅槃図などを掲げて、それについて釈迦の教えを説くものである。 日本の芸能の始まりとも言われ、浪曲や講談、落語などの源流でもあるわけだ。...

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貴種流離譚としてのメロドラマ

先週は、『あの橋の畔で』などの映画を見ていて、メロドラマは、旅行劇であり、大きく見れば国文学で言う「貴種流離譚」ではないかと思った。

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『接吻泥棒』

1961年に川島雄三監督で作られた喜劇。川島雄三と言えば、今や『幕末太陽伝』となるが、日活を出てからの東宝系での作品も結構面白い。 全体としては、非常に時代的な風刺性が強く、シナリオが松山善三となっているのが不思議である。 あるいは、当時松山宅に寄食していたとい多賀祥介が原案を書き、それを松山の名で発表したのかもしれない。...

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『江戸の顔役』

伴淳三郎主演の松竹京都の時代劇、顔役とは河内山宗春のことで、当然片岡直次郎も出て来て小笠原省吾、元は新東宝の小笠原弘。 筋は、伊丹家という大名家のお家騒動に係わる殺人事件を宗春と直次郎が解決する。 二役で、嵯峨三智子が出てくるが、悪家老は藤間林太郎で、藤田まことの父親。殺陣が上手いが、藤田まことも父から受け継いだものなのだろう。...

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