来週にするイベントのために、旧作を見ているが、中で1962年の松竹の『あの橋の袂で』全4部作を見るが、非常に面白いので感心する。
ともかく、様々な脇役がいいので、見ていた飽きない。
娯楽映画で重要なのは、脇や悪役の存在で、彼らがきちんと演じてくれれば、主役はただいるだけでよい。
ここでは桑野みゆきと園井啓介で、典型的なメロドラマの主役を生き生きと演じている。
悪役は、桑野に無理やり結婚する金持ちの息子・穂積隆信と母親の沢村貞子、さらに二部以降で、園井のデザイン盗作騒動を起こす小池朝雄、桑野が提起した離婚訴訟で穂積側で画策する佐藤慶、穂積の秘書で愛人の岩崎加根子などの上手い役者たち。
園井の周りに出てくる女性では、左幸子、渡辺美佐子らで、彼を慕う子供で、中山千夏も出てくる。
途中、中山の台詞で、「どうしてこう世話をやく人が出てくるの」は笑える。
学生時代から相思相愛で、数寄屋橋の菊田一夫の「ここに数寄屋橋ありき」の碑で愛を誓った桑野と園井だが、運命のいたずらで引き裂かされて別離と再会を繰り返す。
園井は、建築デザイナーで、1960年代、建築デザイナーは人気の職業で、TBSの『女の斜塔』も主人公はデザイナーで、私は中学生だったが愛好して見ていた。
映画では、東京から夕張、能登、九州等を行ったり来たりする。
メロドラマは、旅行ものであり、『愛染かつら』以来、主役たちは全国各地を旅行する。ここでは、なんとカンボジアにまで行き、そこでは入江美樹も出てくる。
入江は、モデルで可愛かったが映画は少なく、これと勅使河原宏監督の『他人の顔』くらいだろう。
彼女はすぐに小沢征爾と結婚して引退してしまう。スタイルは最高だが、台詞が甘くて演技は駄目で、辞めたのは賢明だった。
いろいろあるが、最後悪役たちは滅び、沢村貞子が家が没落して宗教に凝る怪演は傑作。
二人は、無事結婚して、西村晃、山内明、千乃赫子らから祝福される。
だが、その時桑野に脳腫瘍が発見され、ついには死んでしまう。
西河克己によれば、メロドラマには、戦争や革命、政権の転覆など大きな時代の変化が必要で、『風と共に去りぬ』も、『君の名は』も、戦争を背景にしている。
戦後の平和な時代にはメロドラマは成立しにくいわけで、そうなると難病しかなくなる。
吉永小百合・浜田光夫の『愛と死を見つめて』も難病ものである。
さて、園井啓介は、テレビの『事件記者』で人気になり、以下の作品に出ていたが、1973年に株の売買で多額の利益を出していたが申告せず、脱税してたとのことが明らかになり、処罰を受けるとすぐに引退した。
今なら、「財テク」としてむしろ評価されただろうが、当時は批難されたのは、時代の違いと言うべきだろうか。
年齢は、宍戸錠らと同じなので、以後もそれなりの活躍はできたと思うのだが、残念なことだった。
1.1962.02.18 事件記者 拳銃貸します 日活
2.1962.03.03 川は流れる 松竹大船
3.1962.04.01 事件記者 影なき侵入者 日活
4.1962.06.28 青べか物語 東京映画 ... 若い警官
5.1962.07.01 あの橋の畔で 松竹大船
6.1962.09.30 あの橋の畔で 第2部 松竹大船
7.1963.01.06 あの橋の畔で 第3部 松竹大船
8.1963.01.27 七人の刑事 松竹大船
9.1963.02.09 彼女に向って突進せよ 松竹大船
10.1963.02.17 風の視線 松竹大船
11.1963.03.16 あの人はいま 松竹大船
12.1963.05.15 残酷の河 松竹京都
13.1963.06.30 若い仲間たち うちら祇園お舞妓はん 宝塚映画
14.1963.07.27 あの橋の畔で 完結篇 松竹大船
15.1963.08.28 ニッポン珍商売 松竹大船
16.1963.11.17 丹下左膳 松竹京都 ... 柳生源之丞
17.1964.02.16 寝言泥棒 松竹大船
18.1964.08.01 海抜0米 松竹大船
19.1964.10.15 男の影 松竹大船
20.1964.11.01 夜の片鱗 松竹大船
21.1965.01.23 花実のない森 大映東京
22.1965.01.30 この声なき叫び 松竹大船
23.1965.01.30 母の歳月 松竹大船
24.1965.04.02 ウナ・セラ・ディ東京 松竹大船
25.1965.05.16 その口紅が憎い 松竹大船
26.1965.08.07 若いしぶき 松竹大船
27.1965.10.16 求婚旅行 松竹大船
28.1966.06.30 新・事件記者 大都会の罠 東京映画
29.1966.08.31 新・事件記者 殺意の丘 東京映画
30.1967.01.02 シンガポールの夜は更けて 松竹大船
31.1967.06.10 人妻椿 松竹大船
32.1967.12.09 愛は惜しみなく 日活
33.1968.05.31 新・いれずみ無残 松竹大船
34.1968.11.09 昆虫大戦争 松竹大船
35.1970.02.21 女賭博師壺くらべ 大映東京
36.1970.07.01 花の不死鳥 松竹大船
37.1971.06.25 夜の手配師 すけ千人斬り 東映東京
ともかく、様々な脇役がいいので、見ていた飽きない。
娯楽映画で重要なのは、脇や悪役の存在で、彼らがきちんと演じてくれれば、主役はただいるだけでよい。
ここでは桑野みゆきと園井啓介で、典型的なメロドラマの主役を生き生きと演じている。
悪役は、桑野に無理やり結婚する金持ちの息子・穂積隆信と母親の沢村貞子、さらに二部以降で、園井のデザイン盗作騒動を起こす小池朝雄、桑野が提起した離婚訴訟で穂積側で画策する佐藤慶、穂積の秘書で愛人の岩崎加根子などの上手い役者たち。
園井の周りに出てくる女性では、左幸子、渡辺美佐子らで、彼を慕う子供で、中山千夏も出てくる。
途中、中山の台詞で、「どうしてこう世話をやく人が出てくるの」は笑える。
学生時代から相思相愛で、数寄屋橋の菊田一夫の「ここに数寄屋橋ありき」の碑で愛を誓った桑野と園井だが、運命のいたずらで引き裂かされて別離と再会を繰り返す。
園井は、建築デザイナーで、1960年代、建築デザイナーは人気の職業で、TBSの『女の斜塔』も主人公はデザイナーで、私は中学生だったが愛好して見ていた。
映画では、東京から夕張、能登、九州等を行ったり来たりする。
メロドラマは、旅行ものであり、『愛染かつら』以来、主役たちは全国各地を旅行する。ここでは、なんとカンボジアにまで行き、そこでは入江美樹も出てくる。
入江は、モデルで可愛かったが映画は少なく、これと勅使河原宏監督の『他人の顔』くらいだろう。
彼女はすぐに小沢征爾と結婚して引退してしまう。スタイルは最高だが、台詞が甘くて演技は駄目で、辞めたのは賢明だった。
いろいろあるが、最後悪役たちは滅び、沢村貞子が家が没落して宗教に凝る怪演は傑作。
二人は、無事結婚して、西村晃、山内明、千乃赫子らから祝福される。
だが、その時桑野に脳腫瘍が発見され、ついには死んでしまう。
西河克己によれば、メロドラマには、戦争や革命、政権の転覆など大きな時代の変化が必要で、『風と共に去りぬ』も、『君の名は』も、戦争を背景にしている。
戦後の平和な時代にはメロドラマは成立しにくいわけで、そうなると難病しかなくなる。
吉永小百合・浜田光夫の『愛と死を見つめて』も難病ものである。
さて、園井啓介は、テレビの『事件記者』で人気になり、以下の作品に出ていたが、1973年に株の売買で多額の利益を出していたが申告せず、脱税してたとのことが明らかになり、処罰を受けるとすぐに引退した。
今なら、「財テク」としてむしろ評価されただろうが、当時は批難されたのは、時代の違いと言うべきだろうか。
年齢は、宍戸錠らと同じなので、以後もそれなりの活躍はできたと思うのだが、残念なことだった。
1.1962.02.18 事件記者 拳銃貸します 日活
2.1962.03.03 川は流れる 松竹大船
3.1962.04.01 事件記者 影なき侵入者 日活
4.1962.06.28 青べか物語 東京映画 ... 若い警官
5.1962.07.01 あの橋の畔で 松竹大船
6.1962.09.30 あの橋の畔で 第2部 松竹大船
7.1963.01.06 あの橋の畔で 第3部 松竹大船
8.1963.01.27 七人の刑事 松竹大船
9.1963.02.09 彼女に向って突進せよ 松竹大船
10.1963.02.17 風の視線 松竹大船
11.1963.03.16 あの人はいま 松竹大船
12.1963.05.15 残酷の河 松竹京都
13.1963.06.30 若い仲間たち うちら祇園お舞妓はん 宝塚映画
14.1963.07.27 あの橋の畔で 完結篇 松竹大船
15.1963.08.28 ニッポン珍商売 松竹大船
16.1963.11.17 丹下左膳 松竹京都 ... 柳生源之丞
17.1964.02.16 寝言泥棒 松竹大船
18.1964.08.01 海抜0米 松竹大船
19.1964.10.15 男の影 松竹大船
20.1964.11.01 夜の片鱗 松竹大船
21.1965.01.23 花実のない森 大映東京
22.1965.01.30 この声なき叫び 松竹大船
23.1965.01.30 母の歳月 松竹大船
24.1965.04.02 ウナ・セラ・ディ東京 松竹大船
25.1965.05.16 その口紅が憎い 松竹大船
26.1965.08.07 若いしぶき 松竹大船
27.1965.10.16 求婚旅行 松竹大船
28.1966.06.30 新・事件記者 大都会の罠 東京映画
29.1966.08.31 新・事件記者 殺意の丘 東京映画
30.1967.01.02 シンガポールの夜は更けて 松竹大船
31.1967.06.10 人妻椿 松竹大船
32.1967.12.09 愛は惜しみなく 日活
33.1968.05.31 新・いれずみ無残 松竹大船
34.1968.11.09 昆虫大戦争 松竹大船
35.1970.02.21 女賭博師壺くらべ 大映東京
36.1970.07.01 花の不死鳥 松竹大船
37.1971.06.25 夜の手配師 すけ千人斬り 東映東京