石原慎太郎の本質は
石原慎太郎は、自作の『太陽の季節』の他7本の映画に出ている。 『太陽の季節』や『狂った果実』は、特別出演的だったが、3本目の『日蝕の夏』は主演作だった。 内容は太陽族ものだったようだが、監督は堀川弘通の2本目で、批評には「つまらぬ話を馬鹿のように真面目に撮っている」と言うのもあったそうだ。 この時の堀川監督は、 「太陽族の先駆けである石原が、臆病なほど慎重な男だったのは意外だった」と書いている。...
View Article安田公義作品2本
先週は、安田公義作品を2本見た。1956年、新東宝の『右門捕り物帖・帯解仏法』と1969年の大映の『東海道お化け道中』である。 安田公義は、1966年に安田道代と石立鉄男の『殺人者』を川崎の映画館で偶然に見て、非常に驚いた、「この監督は凄い」と。 これはまったく評価されていない映画だが、『わらの犬』のような作品で、大変によくできていたと記憶している。...
View Article『さくら盃 仁義』
高橋英樹主演の日活のやくざ映画で、『男の紋章』シリーズの後に2本だけ作られたもの。 当時は言うまでもなく、東映ヤクザ映画の全盛時代で、日活も対抗して結構作ったが、東映のような成功を得ることはできなかった。 ただ、実はヤクザ映画を大々的に最初に作ったのは日活で、1962年の石原裕次郎と浅丘ルリ子共演の『花と竜』だった。...
View Article『古川ロッパとエロ・グロ・ナンセンス 2016秋のぐらもくらぶ祭り』
SPレコードの収集家で有名な保利透さんのぐらもくらぶ祭りとして『古川ロッパとエロ・グロ・ナンセンス』が江戸東京博物館ホールで行われた。 二部構成で、第一部は、保利さん、毛利真人さん、さらに大谷能生さんとの鼎談で、昭和初期のエロ・グロ・ナンセンス・ブームの様々なメディアを駆使しての紹介。...
View Articleワイダと石原慎太郎
ポーランドの映画監督のワイダが亡くなった、90歳。『灰とダイヤモンド』は、非常にパセテックな作品で、大いに感激したものである。 今や東京都の問題の諸悪の根源の石原慎太郎とどういう関係があるか、と言うと同じオムニバス映画を監督したことがあるのだ。 フランス映画『二十歳の恋』で、ワイダの他、トリフォー等が監督として参加したが、日本の監督が石原慎太郎だったのである。...
View Article『るつぼ』
近年にない、素晴らしい芝居だった。理由は、良い戯曲を優れた演出家が、適役で行われたからである。 内容については、雑誌『ミュージック・マガジン』の編集者から、掲載予定原稿についてあまり触れないでください、と言われたこともあるので書かない。...
View Article「俺が全部解説を書いているんだ!」
昔、フジテレビで『勝ち抜きエレキ合戦』というコンテスト番組があり、司会が志摩夕起夫さんで、審査員の一人が中村とうようさんだった。 ある時、若者がギターとハーモニカで、ボブ・ディランの『風に吹かれて』を歌い結構上手かった。 すると中村とうようさんが、「歌詞が違うよ」と指摘した。 若者は「横田基地の米軍兵士から聞いたのですから・・・」と正しさを主張した。 とうようさんは言った。...
View Article平山秀幸作品2本
鈴村たけしさんから、『平山秀幸映画屋街道』をいただいたので、新文芸座に行く。 『信さん・炭鉱町のセレナーデ』と『学校の怪談4』 どちらも良いもので、死者や別れた者への配慮があるのが素晴らしい。 われわれは、人生の中で、多くの人と別れて、二度と会わなくなってしまうものなのだから。...
View Article笹るみ子、死去
女優の笹るみ子が亡くなったそうだ、76歳とは若い。 特にどうという女優ではないが、映画『青い山脈』に出ている。原節子、池部良の有名な作品ではなく、司葉子、宝田明、雪村いずみ、久保明の1957年の二作目である。 主人公の寺沢新子役は雪村いずみで、その友人の笹井和子役だった。 この新子の友人で、島崎雪子先生のスパイという役は、最初は若山セツ子だった。...
View Article『オテナの塔・後編』
DVDを整理していたら出て来た。NHKの夕方のラジオドラマで、『笛吹童子』らと同じ新諸国物語で、ほとんどは東映で作られたが、これは東宝で公開された。 東宝とは言っても宝塚映画と共同になっていて、雪村いずみ、山田真二、中村扇雀、青山京子ら東宝の若手俳優の他、市川小太夫、小杉勇、水戸光子、鳳八千代、嵐勘寿郎らが出ている。...
View Article来月11日の大岡地区センターで『横浜の映画』をします
来月11月11日(2時から4時半)に、弘明寺の大岡地区センターで、『横浜の映画』をします。 これは、横浜市南区を主な撮影場所とした松竹映画『わが恋の旅路』をもとにしたイベントです。 前半は、町歩き博士・河北直治さんのご案内で、南区を歩きます。 3時ごろに大岡地区センターに来た後、『わが恋の旅路』などの名場面を見て、過去と現在の横浜市南部の変容を実際に感じます。...
View Article『モスキート・コースト』
前から見たいと思っていたのが、イマジカBSで放送されたので見たが、予想以上に大変に面白い作品だった。 主人公のハリソン・フォードの人間が凄い、子供からは天才と何度も言われるが、本当に信じがたい男で、多くの発明をし、なんでもできてしまう器用な男なのだ。...
View Articleやはり、ボート会場は異常だった
東京五輪のボート会場が大問題になっている。 この会場が、400億円もかかると聞いたのは、約2年前で、昔ウォーマッド横浜をやったI君からだった。 彼とは、横浜市南区の区役所跡地を、そのまま稽古場コンプレックスにできないかと考えて調査のために現地に来た貰った時だった。 互いに今何をやっているか、との話になり、東京五輪のボート競技の開催を手伝っていて、...
View Article「あれがポーラボーラの池だ」 上高地行き
先週も富山県に行ったのだが、今週もすぐ近くの長野県に行った。最終の目的は黒四ダムを見ることだが、前日に上高地に行った。 根が下品なので、上高地のような上品なことろに縁はなく、今回が初めてだった。 かなり紅葉の進んだ林を抜けて上高地、まず大正池を左手に見ながら道を進む。 「ああ、あれがポーラボーラ号が浮かんでいた池だ」と思ったのは、20人ほどのバスの乗客で私一人だろう。...
View Article鳴滝組の影響 『オテナの塔・前編』
朝早く起きてしまったので、DVDの整理で出て来た『オテナの塔・前編』を見る。 前後が逆になったが、見ていて、この宝塚映画で作られた作品の監督は大映の安田公義である。 さらに「新諸国物語」シリーズとして東映で『紅孔雀』『笛吹童子』など多数作られた作品の監督は、萩原遼だった。 萩原は、山中貞雄、稲垣浩ら鳴滝組の一人であり、安田公義は言うまでもなく日活での稲垣浩の弟子である。...
View Article黒四ダムと立山
上高地の午後の翌日、一番の目的の黒部ダムと立山に行く。 朝6時のホテル出発、バスで扇沢に向かうが、途中栂池の周囲はスキーのホテルと山にはゲレンデ。 ここはスキー客で冬は大いに賑うのだろうと思う。 扇沢付近もかなり紅葉している。ここからはトロリーバスで、黒部ダムへ。トロリーバスは、戦後大都市に結構あり、東京では五反田から池袋迄明治通りを走っていたし、横浜にも三ツ沢公園との循環線があった。...
View Article『ソング・オブ・ラホール』
パキスタンの民俗楽器で、デイブ・ブルーベックの『テイク・ファイブ』を演奏し、世界中で注目されたサッチャル・アンサンブルのアメリカ公演に行くまでのドキュメンタリー。 デイブ・ブルーベックと言えば、1964年に日本に来て、確かサンケイホールで公演をやったが、高校2年生だった私は見に行っている。...
View Article三笠宮が亡くなられて
三笠宮様が100歳で亡くなられた。 こういうことを書くと、また非国民と言われそうだが、昭和天皇のご兄弟は、実はそれぞれが違う父親から生まれたのだそうだ。 脚本家笠原和夫の『昭和の劇』に書かれていることであり、多分そうだろうと思う。 よく知られているように、大正天皇には、心身に問題があり、そのために他の皇族等の血を入れたというのだ。...
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