近年にない、素晴らしい芝居だった。理由は、良い戯曲を優れた演出家が、適役で行われたからである。
内容については、雑誌『ミュージック・マガジン』の編集者から、掲載予定原稿についてあまり触れないでください、と言われたこともあるので書かない。
アーサー・ミラーは、日本ではテネシー・ウィリアムズに比べて、あまり人気のない劇作家だが、比較できないくらいに凄い劇作家だと思う。
意外にも、彼は、女優のマリリン・モンローと結婚したこともある。
戯曲は、17世紀にアメリカ東部で起きた魔女狩り、セイレムの魔女事件を題材に、1950年代のマッカーシズムを描いたものである。
見て、あらためて非常によくできた戯曲だと思った。
今回、気が付いたのは、少女たちを森の中で裸で踊らせていたのは、主人公の農夫の女中で、カリブ海のバルバドス島から来た者だったこと。
それは当然にアフリカ的な、マクンバやブードゥーのような祈りと踊りで、ピューリタンのイギリス出身の連中から見ればまさに悪魔の音楽と踊りとみなされたことだ。
内容がやはり宗教裁判になるので、その辺はかなりわかりにくかった。
シアターコクーン