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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『オテナの塔・後編』

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DVDを整理していたら出て来た。NHKの夕方のラジオドラマで、『笛吹童子』らと同じ新諸国物語で、ほとんどは東映で作られたが、これは東宝で公開された。

                                   

 

東宝とは言っても宝塚映画と共同になっていて、雪村いずみ、山田真二、中村扇雀、青山京子ら東宝の若手俳優の他、市川小太夫、小杉勇、水戸光子、鳳八千代、嵐勘寿郎らが出ている。

監督は大映の安田公義であり、普通はない組み合わせだが、東宝系だが宝塚映画は、一応独立プロなので、5社協定に抵触しないからだろう。

製作が稲垣浩ということは、東宝の若手俳優に時代劇を学ばせようという意図があったのかもしれない。

さすがに時代劇のベテランの安田なので、筋の運びは上手いが、どこか面白さに欠けている。

やはり、東映の中村錦之助・東千代之助主演作のような、粗削りだが、若々しさがあるのとの差であり、ここには若さがない。

最後、悪代官の小太夫が、善玉たちに追い詰められて死にそうになり、黄金を示して百姓に命乞いをする。

だが、百姓たちは「黄金なら俺たちもあるぞ!」と言ってオテナの塔から喜捨された小判を見せるところは大いに笑えた。

オテナの塔とは、蝦夷、つまりアイヌの財宝らしく、今考えると結構進んだ話である。最後は、山田真二が雪村いずみと一緒に旅役者になってよくところで終わる。山田真二と雪村はコンビだったのだ。

不思議な旋律と打楽器の繰り返しの、深井史郎の音楽が非常に良い。

この人も、伊福部昭らと同様に、日本的な抒情性にあふれた作曲家だったと思うが、早く亡くなられたのは惜しい。

東映に作品が多く、最初のシネスコ映画『鳳城の花嫁』も深井史郎である。

衛星劇場


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