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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『ドクトル・マブセ』

サイレント時代の1922年のドイツの名作で、戦前に日本でも完全版ではないが、上映されて話題となったフリッツ・ラング監督作品。 『メトロポリス』のような抽象的、前衛的な作品だと思っていたら、まったく違い、犯罪ものであり、通俗的な部分もあり、非常に面白い。 物語は、医者にして、ギャンブラー、そしてギャングという恐るべきマブセ博士の悪行とそれを追い対決する検事との戦い。...

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『動乱』

映画『八甲田山』と同様のシナノ企画、創価学会映画なので見なかったが、昨年高倉健が亡くなった時、友人たちが「結構良い映画だったよ」というので見ることにする。 脚本は山田信夫で、結構面白いが、前半はともかく後半になるとダレてくる。 理由は、高倉健と吉永小百合を共演させているため、後半も吉永を出すが、本来政治的反乱もので男の話なので、そこに吉永が絡んでくると流れが停滞するからである。...

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『長屋紳士録』

1947年、戦争から戻って来た小津安二郎が最初に作った作品で、会社から「早く作れ」と言われて12日間で野田高吾と脚本を書いたというもの。 主演は荒物屋をやっている飯田蝶子の未亡人で、場所は東京の佃島あたり、築地の本願寺の向かいという設定である。 東京の下町の庶民の話で、戦前に坂本武士が演じた「喜八もの」の飯田蝶子版ともいえるだろう。...

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『国士無双』

サイレント時代の1932年の伊丹万作の名作ではなく、1986年に保坂延彦監督で作られたもの、脚本は菊島隆三、製作は藤井浩明と西岡善信、映像京都が全面的に参加している。 結論を言えば、この保坂監督は恐らくまじめな方であり、喜劇には向いていないということだろう。 話は、有名な筋書きで、偽物が本物に勝つということで、偽物は中井貴一、本物の伊勢伊勢守はフランキー堺で、原田美枝子が娘の八重。...

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世界の三船の影

テレビの芸能ニュースでは、三船美佳と高橋ジョージの離婚の件が大きく騒がれている。 三船美佳は、まだ32歳というのだから、驚いてしまう。 この二人の影には、三船敏郎がいることがよくわかる。 三船美佳が、24歳も上の男と結婚したのは、明らかにファーザー・コンプレックスからだったと言えるだろう。 また、ここで離婚すると言うのも、偉大な父の影から別れて、女性として自立する時期に来たということだろう。...

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『従軍日記』 小津安二郎

1939年1月13日(金) 今日から城外に慰安所ができる。金曜日がZ(野戦瓦斯隊)で開店早々のうちの部隊が当たる。慰安券が二枚 星秘膏 ゴムなど若干配給になる。半島人三名支那人一二名 計十五名の大雛だ。 慰安券に曰く...

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岡田克也氏が民主党代表に

日曜日に、民主党の大会が行われ、岡田克也氏が、決選投票で細野豪志氏を破って代表に選出された。 テレビ・ニュース的には、新鮮味のない結果だったが、これで良いと私は思う。 地方の党員や議員に細野氏を期待する声が多かったようだが、これは少々近視眼的である。 党首の顔が変われば勝てると思うのは非常に考えが浅いと思う。...

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田口史人『レコード寄席』

田口史人さんが、毎月最終火曜日にやっている「レコード寄席」 今回は、移民とのことで、日本から海外に行ってそこで作られたレコードなど。 まずは、日本人製作で最大の世界的ヒットになった『スキヤキ』から。 坂本九の『上を向いて歩こう』だが、イギリスのジャズ奏者ケニー・ボールによって最初に吹き込まれた時、適当に『スキヤキ』と名づけられ、坂本のオリジナル版が米国で出された時も、その名で大ヒットする。...

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『ミュージック・マガジン』に田村光男の追悼記事を書きました

今月の雑誌『ミュージック・マガジン』で、昨年11月に67歳で亡くなった田村光男について書きましたので、ぜひ読んでください。 ただ、紙数の関係で、彼が実は三原順子や中山美穂、さらに元宝塚の明日香都さんらのコンサートやショーの演出家だったことは省いてあります。 彼の幅広い活躍について書きましたが、お読みいただければ幸いです。...

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小津安二郎と鈴木忠志

演出家の鈴木忠志は、「演劇は、かつての日本の新劇のような特定の思想を表現することでも、商業演劇のように感動的な物語で感動させることではなく、役者の演技で感動させるべきだ」と言っている。 映画監督小津安二郎の作品も、スター俳優の美しいポートレートと無駄のない自然な動き、さらに正しい発音の台詞によって美しい画面を作り出すことにあると思う。...

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『石の虚塔』 上原善広(新潮社) 誤りをおかすのが人間である!

ブログで、尾形修一さんが非常に評価されていたので読んだが、大変に面白かった。 2000年に起きた、旧石器時代の石器発掘の捏造事件、そこから遡って1947年の岩宿での相澤忠洋の岩宿遺跡の発見。 この岩宿から、捏造事件に至る日本の考古学の人物史というべきもので、石に魅せられた男たちの歴史。...

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『三里塚に生きる』

大島渚は、優れたドキュメンタリーができる条件として、長期取材と対象への愛を上げている。 この作品は、その二つの典型だろう。小川プロの『三里塚シリーズ』は、1960年代中頃からなので、50年近いし、監督・撮影の大津幸四郎は、小川プロの一員として撮影を担当したのだから。 私は、三里塚に行ったことはない。三里塚は、中核派と第4インター派の運動だと思っていたからだ。...

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『ポルノの帝王 久保新二の愛と涙の大爆笑』 久保新二 石動三六・小川晋(ポット出版)

1970年代に、日活ロマンポルノを見に行くと、必ず1本は、久保新二出演作品を見せられたものだ。 ロマンポルノの他、外部からの買上作品の3本立となったからである。 首都圏では関係ないが、地方ではやはり2本よりは、3本の方が営業力があったからだろう。 その代表が「未亡人下宿シリーズ」で、実は日活ではなく、1969年のピンク映画、東京興映製作、新東宝興行配給の『貸間あり...

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『風の次郎吉』 宝塚花組公演

鼠小僧は、歌舞伎から講談、そして映画でもサイレント時代から作られているが近年はなく、1965年の大映での林与一主演、三隅研二監督の『鼠小僧次郎吉』が映画の最後のようだ。 テレビでは、フジテレビでの小川真由美主演の『女ねずみ小僧』がヒットしており、私は彼女の主演の明治座公演も見たことがある。 花組公演に専科から北翔海莉と夏美ようが参加し、北翔が主人公の鳶職の次郎吉で、実はねずみ小僧。...

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『チャンバラ』

流山児祥事務所30周年記念の公演で、黒テントの作家で2010年に亡くなった山元清多と、昨年亡くなった斎藤晴彦の追悼公演で山元作の『チャンバラ』が行われた。 演出は、黒テントにいたこともある鄭義信で、テントからは服部吉次、木野本啓、結城座から結城孫三郎、コンにゃく座から井村タカオ、そして流山児祥事務所からは塩野谷正幸など。 話は、天保水滸伝の笹川繁蔵と飯岡助五郎との利根川河原での出入の後日談である。...

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死んだらそれまで 好きな映画スターベスト

キネマ旬報の「好きな男女優ベスト」を見る。 男優の1位は、三船敏郎、女優の1位は高峰秀子で、これはきわめて順当だろう。 2位以下は、森雅之、市川雷蔵、勝新太郎、高倉健であり、女性の2位は、若尾文子、藤純子、浅丘ルリ子、原節子となっている。 やはり、幅広い役柄を演じた俳優が上位に入っているが、男優で長谷川一夫が入っていないのが変だと私は思う。...

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『大地の侍』

1956年の東映作品、原作は本庄睦男の『石狩川』で、明治維新によって宮城の土地を奪われ北海道に移住した岩出山支藩の苦闘を描く作品。 原作は、戦前に新協劇団で劇化されたこともあるそうだが、非常に良くできていて、筋も大変面白い。 監督は、抒情的な作風で昔から私は好きだった佐伯清で、彼は後に『昭和残侠伝』を作ることになる。...

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「お館さま」

先日見た『大地の侍』では、伊藤久哉が演じた岩出山藩主伊達邦夷のことを皆が「お館さま」と呼んでいた。 家老の大友柳太郎のみならず、町の商人らも、そう呼んでいた。 「お館さま」は、戦国時代から武将のことを、そう呼んでいたようだが、この時代も同様だったのだ。 明治維新以後の近代社会で、「お館さま」と呼ばれて有名だった方がいる。...

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尻手駅が出てくる映画

浜川崎線(現在は南武線支線と言うらしいが)に新たな駅の「小田栄駅」ができるそうだ。 この線は、南武線の尻手駅から分岐して浜川崎方面に行く路線で、私は母の実家が矢向だったので遊びに行くとき、尻手駅の向こう側に止まっている車両をいつも見たものである。 この路線の周囲でマンションの開発が進み人口が増えたからだそうで、同様に横浜市鶴見区、神奈川区などでも工場跡地がマンションになり、人口増が続いている。...

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『秋刀魚の味』の二人の女優

小津安二郎の遺作『秋刀魚の味』には、ほんの「チョイ役」だが、気になる女優が二人出ている。 一人は、少し大きな役で、北竜二の再婚の若い妻になる環三千代であり、彼女は女優を辞めて普通のサラリーマンと結婚したそうだが、若くして亡くなられたそうだ。 もう一人は、笠智衆の会社の女性で、結婚して退職の挨拶に来る牧紀子である。...

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