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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『動乱』

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映画『八甲田山』と同様のシナノ企画、創価学会映画なので見なかったが、昨年高倉健が亡くなった時、友人たちが「結構良い映画だったよ」というので見ることにする。



脚本は山田信夫で、結構面白いが、前半はともかく後半になるとダレてくる。
理由は、高倉健と吉永小百合を共演させているため、後半も吉永を出すが、本来政治的反乱もので男の話なので、そこに吉永が絡んでくると流れが停滞するからである。
仙台の兵舎から、高倉の部下の兵士の永嶋敏行が脱走し故郷に逃げる。貧困から姉の吉永小百合が身売りしなければならないからであった。
永嶋を擁護したことから、高倉健は、左遷されて北朝鮮との国境地帯に送られてしまう。
するとそこの部隊の宴席で、慰安婦になった吉永小百合と高倉が再会する。
所謂匪賊、北朝鮮のゲリラが暗躍していて、そこと通じ、軍用品を横流ししている連中も軍隊にはいて、そうした腐敗に高倉は次第に現状変革への思いが強くなる。
東京に戻った高倉は吉永と一緒に暮らしているが、同衾はせず、最後の蜂起の前日に二人は結ばれる。
高倉は香道派の中心人物となり、彼ら若手将校たちは、軍中央の統制派と対立し、ついには高倉の親友の田村高広によって軍務局長を白昼に惨殺する事件も起きる。
所謂相沢中佐事件である。
実在の人物をモデルにしているが、名前は替えられており、高倉が演じる軍人は 、多分村中孝二か、安藤輝三がモデルだろう。
そして、1936年2月26日に、反乱事件に彼らは一斉に蜂起する。
だが、真崎甚三郎らに裏切られて、反乱は失敗に終わり、秘密裁判で極刑が下され、銃殺される。
この2・26事件の悲劇性は、簡単に言えば、青年将校らが考えたのとは逆に、昭和天皇は西欧的な自由主義的志向を持っていた人であり、皇道派的な精神主義は大嫌いだったことである。
「余が近衛兵を率いて逆賊を討伐しよう」と言ったのは有名である。
桜田淳子が、蜂起参加兵士の一人と結婚する女性として出ていたのには驚く。
映画としてみれば、2・26事件を扱った作品は何本かあるが、最初の佐分利信監督の新東宝の『叛乱』が一番よかったように思う。
森谷司郎の作品も、この辺から無内容になって行ったと思う。
初期の『兄貴の恋人』の頃の瑞々しさが懐かしい。

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