Quantcast
Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
Browsing all 3529 articles
Browse latest View live

荒井晴彦先生の誤解

先日、ネットで「西部ゼミナール」見たら、荒井晴彦先生が、「黒澤明作品を1本も見ていない」と豪語していた。 それはそれで結構だが、その理由が全くの誤解に基づくものなので、笑ってしまった。 要約すれば、黒澤は強者、権力を持つ者の立場で映画を作っているので、自分は反対に敗者の立場から映画をやって来たので、黒澤を見ないこととしたと言うのだ。 これは黒澤映画に対する全くの誤解である。...

View Article


『新源氏物語』

1961年、市川雷蔵の光源氏で作られた源氏物語。監督は森一生、脚本は八尋不二である。 新とついているのは、このすぐ前に長谷川一夫の主演で『源氏物語』が大映創立10周年映画として製作されているためだろう。 筋は、川口松太郎の小説に基づくもので、女同士の争い、嫉妬、欲望等が強く描かれていて、川口家の女性をめぐる争いを思わせる感もする。...

View Article


これも小津作品だろう

田中絹代が日活で監督した作品で、小津安二郎と斎藤良輔の共同脚本だが、きわめて小津色が強い。 2009年に初めて見た時、私は以下のように書いた。 小津安二郎が、田中絹代監督のために書いた脚本など不愉快だったので、見ていなかったが、今回初めて見るとなかなか興味深い作品だった。 小津の作品歴で言えば、『東京物語』と『早春』の間で、この次が問題作『東京暮色』である。...

View Article

Image may be NSFW.
Clik here to view.

『芸者秀駒』

これを見ようと思ったのは、製作がニッポン・プロダクションとなっていたからで、この会社は何だと思ったからだ。 製作は山田典吾で、「ああそうか」と思った。 山田典吾は、山村聰、夏川静江らと共に現代プロを作り『村八分』『蟹工船』『真昼の暗黒』らを作ったプロデューサーで有名である。 だが、現代プロは、一応左翼独立プロの看板を揚げているので、山田としては、金儲けで映画を作るわけにはいかない。...

View Article

Image may be NSFW.
Clik here to view.

『Let's 豪徳寺』

昔々からビデオ屋にあるなと思いつつ見ていなかった映画。 原作が漫画なので、出てくる人間はみな漫画的なのは仕方なく、脚本の斎藤博、監督の前田陽一も金儲け仕事と思ってやっているのだろうが、唯一本気でやっているのは三田寛子で、自然な明るさが作品を救っている。 話は、女子学生の三田が、同級生で大金持ちで大邸宅に住む鈴木保奈美の家にお手伝いとして働く。...

View Article


『人間魚雷出撃す』

1956年、石原裕次郎主演で作られた人間魚雷回天の秘話である。 冒頭、アメリカの軍事法廷で、潜水艦の艦長だった森雅之が参考人として証言させられている。 彼の指揮する潜水艦が撃沈したのはインデイアナポリス号で、テニアン島に原爆を運んだ後のことだったのである。 そこから森の回想で艦が江田島を離れ、太平洋に攻撃目標を求めて行く航海が描かれる。...

View Article

「お前は黒澤明が好きなのか」

2013年に『黒澤明の十字架』(現代企画室)を出して以来、必ず聞かれるのが、「お前は黒澤明が好きなのか」という質問である。 私は、荒井晴彦先生のように、昔は彼が嫌いだった。 だが、この本を書く中でかなり好きになったのは事実である。 溝口健二ほどではないが、かなり好きになったことは次の記述でわかるに違いない。   最後に、黒澤明を主に戦争とのわりでたどってきてあらためて感じるのは、彼がいかに誠実で、...

View Article

「ああ、これはドストエフスキーか」 東千代之介2本

フィルムセンターで、東千代之介映画を2本見る。 中村錦之助、さらに中村賀津雄と共演の『暴れん坊兄弟』と『嫁さがし千両勝負』である。 前者は山本周五郎原作で、藩主中村錦之助の命令で江戸から藩に派遣されたのが東千代之介と賀津雄の兄弟。 この兄弟は性格が対照的で、兄は昼行燈と言われるのんびりとした全くの善人、弟は何をやっても粗忽で、慌て者。...

View Article


昔の芸人の凄さ SP講談20世紀の大衆芸能第26回「寄席の音曲」 岡田則夫

高円寺の円盤で隔月ごとに行われている、岡田則夫さんの秘蔵SPを聴くイベント、今回はほとんど聞いたことのない物ばかりなので、フィルムセンターの映画の後に地下鉄で向かう。 普通は、銀座線で渋谷に出て、山手、総武線と乗り換えるのだが、地下鉄でも赤坂見附で丸ノ内線に乗り換えれば新高円寺に行けるので、それで行く。 新高円寺から総武線脇の円盤にまでは、結構な距離があった。...

View Article


『やくざ戦争 日本の首領』

1970年代にアメリカ映画で暗黒物がヒットしたことに便乗して、日本のドン山口組を題材に描いた1977年の東映の大作。 ドンは佐倉組組長の佐分利信、その直属の部下が鶴田浩二の辰巳、その妻は市原悦子、佐分利の妻も青年座の東恵美子で、佐分利との間の娘は文学座の二宮さよ子。 彼女と結婚する医者はやはり文学座の高橋悦史と新劇人が総出演である。...

View Article

『基礎訓練』

アメリカのドキュメンタリー作家フレデリック・ワイズマンの1971年の作品。 基礎訓練とは、陸軍の志願兵に対して施す90日間の訓練である。 行進から始まり、格闘、銃器の使い方、実際の模擬戦闘訓練などで、一人の兵士に仕立て上げていく。 ベトナム戦争の末期なので、対ベトコン戦用の森林や藁葺き小屋等への模擬戦闘もある。...

View Article

Image may be NSFW.
Clik here to view.

永井荷風の偉さを新たに思う

例のシリアで「イスラム国」に捕えられた後藤健二さんの問題について、「安倍政権の政策について云々するのは良くない、国民は一致して事態をも守るべきだ」との言説があった。 だが、後藤氏は、殺害されてしまった。これは日本で、政府を批判するような言論があった性だろうか。 勿論、全く関係のないことである。 こうした日本の政治の状況を見ると思いだすのは、永井荷風の日記の『断腸亭日乗』の凄さである。...

View Article

Image may be NSFW.
Clik here to view.

花井蘭子2本 『花ちりぬ』『幸福はあの星の下に』

花井蘭子は、前から好きな女優で、日本的な楚々とした美人だが、今はこういう感じの女優も女性も少なくなったと思う。 「姿三四郎」のお澄 阿佐ヶ谷ラピュタに頑張って彼女の映画を2本見た。 1938年の石田民三監督の『花ちりぬ』で、脚本は『女の一生』の森本薫で、30代の時にシナリオを読み、よくできた脚本だと感心していたが、実際に見たのは初めて。...

View Article


やはり、言霊(ことだま)の国

テレビでワイドショーを見ていたら、子供の奇妙な名前のことを特集していたが、ほとんどが笑ってしまうキラキラ・ネームばかり。 中では「今鹿」が最高だったが、ナウシカと読むそうだ。昔、寺山修司の天井桟敷に、支那虎という役者がいたのを思い出した。 こういう珍妙な子供の名前については、大きくなってから大変だろうとは思うが、まあ本当に嫌なら改名することもできる。...

View Article

Image may be NSFW.
Clik here to view.

『生きてはみたけれど』

小津安二郎伝とサブタイトルされた作品で、監督は小津の助監督だったこともある井上和男。 多くの俳優、スタッフさらに関係者へのインタビューでできている。 1983年の映画なので、小津安二郎研究がまだ進んでいなかった頃なので、不十分な面はある。 井上は、小津の墓標の文字の「無」に小津の本質を見ているようだが、それは違うと私は思う。...

View Article


Image may be NSFW.
Clik here to view.

真鍋理一郎、死去

作曲家で、映画音楽も多数書かれた真鍋理一郎氏が亡くなった、90歳。 真鍋理一郎というと、すぐに大島渚の作品の、と来るが、彼は結構様々な作品の音楽を書いている。 川島雄三の『洲崎パラダイス』などは普通の方だが、東宝の『ゴジラ対へドラ』などはかなり変わった作品だろう。 だが、もっとすごいのは、日活の神代辰巳監督のデビュー作『かぶりつき人生』のボサ・ノヴァ風の音楽である。...

View Article

全中について

全国の農協の総元締めである全中が「改革」されるそうだ。 ご苦労様なことであるが、自民党にとって本当に良いのかはよくわからない。 小泉内閣が、「郵政改革」で成功したように、安倍内閣は農協改革で、国民の支持を得ようとしているように見える。 だが、そう行くのだろうか。 郵便局は全国民に関係があるが、農協は、今やほとんどの国民にとって無縁だからである。...

View Article


大竹富江、死去

在ブラジルの女性美術家大竹富江さんが亡くなられた、101歳。 彼女は、京都に生まれてブラジルに移住した後、画家として活動された。 私は、この分野には詳しくないが、以前ポルトガル語を習っている時、先生から大竹さんの作品集を見せられて驚いたことがある。 日本では、ブラジルの美術が話題になることはないが、世界的なレベルであるようだ。 ブラジルの美術、建築などは非常に大したものであるとのことである。...

View Article

Image may be NSFW.
Clik here to view.

「見え透いた筋書きだな!」  『天下の若君漫遊記』

前編と後編の2部作の最後で、主人公の明智三郎が、悪人の石黒達也にいう台詞だが、映画全体が「まことに見え透いた筋書き」のオンパレード。 1955年、日活で公開された時代劇だが、富士映画の製作になっている。 富士映画とは、元は東京発声映画のあったスタジオを本拠にした新東宝の傍系会社で、世田谷区桜で娯楽映画を作っていた。...

View Article

Image may be NSFW.
Clik here to view.

『0.5ミリ』

上映時間3時間というので、敬遠してきたが、長さの割には私は退屈しなかった。前の方で寝ている方もおられたが。 話は、介護ヘルパーとして働き始めた主人公の安藤サクラが、介護している老人の娘木内みどりの願いを聞き、痴呆症の織本順吉と同衾したところ、織本が体を重ねて来てしまう。 サクラが、押し返すと、その反動で織本の体が電気のコンセントを潰してしまって発火して火事になり、家は燃え、織本も死んでしまう。...

View Article
Browsing all 3529 articles
Browse latest View live