石原裕次郎の最大の被害者だったが
松方弘樹が死んだ、74歳とはあまりに若いが、ガンの一種であるリンパ腫では仕方がないところだろう。 「この男も、石原裕次郎の被害者だったな」と思ったのは深作欣二監督の映画『恐喝こそ我が人生』を見たときだった。 よく見れば、彼はすごい二枚目で(実際には大変な色気もあるそうだが)、そのままロマンのヒーローを演じればよいのに、わざわざ汚れ役の不良を演じている。...
View Article『若き日のあやまち』
1952年の新東宝映画、脚本は植草圭之介と菊島隆三、監督は野村浩将で、主演は言うまでもなく左幸子、映画デビュー作。 昔、キネカ大森で開かれた彼女の特集のとき左幸子は、これと日活の『踏み外した春』は、まさに自分の人生を象徴しているような題名だと言っていたが。 女子高生の左は、父親は医者の十朱幸雄で、裕福な家である。...
View Article不正受給はあるのか 生活保護問題
小田原市の生活保護担当が不適切な文言のジャンパーを着ていて問題となっている。 だが、反対に生活保護についてよく言われるのが、所謂「不正受給」であろう。 虚偽の申請で多額の保護費を受給し、高級車を乗り回しているというのが、あたかも真実のように語られる。 だが、本当だろうか。 私は、横浜市のある区にいたとき、2年間保護費の支出の担当課長を務めたことがある。...
View Articleブログ移転のお知らせ
このたび事情があり、ブログを移転しました。 以前は、別にホームページを作っていたのですが、この間やっていて日々の記事は結局ブログが中心となったので、そこを中心にホームページを作ることにしました。 まだ、全部の記事が移動できていませんが、順次移動させていく予定ですので、よろしくお願いいたします。 あたらしいサイトはhttp://sasurai.biz/になります。
View Article全部の資料を移動させましたので。
このブログを事情があり、別のサイトに移動させましたが、コメントも含めて全部移動させましたので、どうぞよろしく。 サイトは以下のアドレスです。 http://sasurai.biz/
View Article『化石』
小林正樹はあまりにまじめで息抜きがないので苦手で、これはどうかなと思っていたが、意外にも面白かった。 一代で建設会社を作った社長の佐分利信が、欧州旅行に行く。随行は井川比佐志だけでパリを中心に観光をする。 前半は、やや観光映画風だが、これはテレビで放映した後、再編集して劇場公開するという形式をとったためだろう。...
View Article『上海の女』
1952年の山口淑子主演の映画で、監督は稲垣浩。 稲垣について、東宝の藤本真澄は、「東宝の監督の4番打者だ」と言ったというが、この作品は凡打だろう。 問題は脚本にあり、棚田五郎のシナリオにセンスがなく、また1945年夏の中国での勢力関係についての説明が不足している。 久しぶりに上海の上司佐々木孝丸のところに戻った特務工作員三国連太郎は、重慶側の組織の解明の任務を与えられる。...
View Article『大根と人参』
小津安二郎記念映画と称されていて、小津が野田高梧と脚本を構想していた物を、渋谷実が監督を受け継いで1965年に作った作品。 渋谷実は、映画『モンローのような女』の失敗で、「もうだめだ」とされていて、これもひどいとされてきたが、改めて見てみると結構面白い。 主演は、もちろん笠智衆だが、小津映画の温厚で、異常なほどに真面目な中年男の殻を途中で完璧に破り、破天荒に騒ぐところは、大笑いである。...
View Article『ラ・ラ・ランド』
横浜美術館で篠山紀信展を見たのち、横浜ブルグ13に行くと、『ラ・ラ・ランド』が初日で上映されている。 昔、J・P・サルトルの脚本で『賭けはなされた』という映画があった。 別々の理由で死んだ男女が死後知り合って愛しあう。 二人は生き方を変えてみるが、やはり元の死に行きつくという映画であり、私はテレビで見ただけだが、なかなか面白い作品だった。...
View Article『冬の嵐』
1987年の映画で、昔、テレビの深夜放送で見て非常に面白いと思ったが、その後見る機会がなかったが、CSで放送されたので、録画して見たが、やはり非常に面白い。 冒頭でコインロッカーからカバンを出した女性が、車に戻ると後ろの席にいた男に首を絞められ、指を切られる。...
View Article『海峡を越えた野球少年』
朝鮮戦争後の1956年から1997年まで、韓国では全国学生野球大会が行われ、大人気になった。中には在日同胞チームもあり、プレーのレベルの高さは、韓国民を驚かせた。 1956年チームには張本勲もいたという。後のことだが、広島の金城、中日の中村、阪神の桧山なども出たことがあるそうだ。...
View Article『かあちゃん』
前から気になっていたが、見て唖然としたひどい映画である。市川崑の映画では最低だろう。やはり彼は『細雪』が頂点で、その後は惰性だったのだろうか。 美術、撮影、照明等は素晴らしいが、中身が信じられないほどにひどい。 2001年という、小泉構造改革で浮かれていた時に、こんな貧乏話をやっても、リアリティがあるわけもない。...
View Article『人生劇場』
10本以上が作られているという『人生劇場』の最初の内田吐夢監督版。1936年の日活多摩川作品のサイレント版だが、全11巻の内4巻分のみ。さらに状態はかなりひどいが、マツダ映画社が努力して収集された結果なので、それに感謝するしかない。 主演は小杉勇で、瓢吉と父親の瓢太郎の両方を演じている。 吉良常は、山本礼三郎である。...
View Article『酔っぱらい天国』
1962年の渋谷実監督作品、主演は笠智衆で、小津安二郎映画でとはまったく違う姿を見せて非常に面白い。 1950年代から、渋谷は大変に評価が高く、常に問題作の発表を求められていたので、当時こうした軽い喜劇の評価は高くなかったが、今見ると大変に笑える。...
View Article『宇宙大怪獣ギララ』
1960年代後半になぜか松竹が作った怪獣映画で、監督は次の不思議映画の『昆虫大戦争』も作った二本松嘉端である。 富士山の麓に国際研究所があり、そこに濃縮ウランが運ばれて来て、そのエネルギーでロケットが宇宙に発射される。 搭乗員は、和崎俊也、園井啓介、柳沢真一の他、外人女性がいてペギー・ニール。...
View Article『億万長者』
1954年、新東宝で公開された市川崑作品だが、製作は青年俳優座、つまり劇団青俳である。 相当に奇妙で誇張された内容になっていて、まず久我美子が、数寄屋橋で「平和のために原爆を持ちましょう」と演説している。久我は、狂人であることが途中でわかる。 主人公は税務署員の木村功で、貧しくて葬儀屋の二階に下宿しているところから物語は始まる。...
View Article「晩節を汚す」そのもの 石原慎太郎の証言
昨日行われた、石原慎太郎元東京都知事の証言は、まさに「晩節を汚す」そのものだった。 まず、「脳梗塞で平仮名も忘れ、記憶も不十分だ」と言ったが、本当かねと思う。 同じ脳梗塞を患った者として病院で多くの患者を見て来たが、言語障害が残るのは、右麻痺であり、これは女性に多く、男性のほとんどは左マヒで、言語障害は普通起こらず、記憶障害も少ない。...
View Article役作りの有無が劇の出来を決めた 劇団俳小アイルランド近代劇
日暮里のDー倉庫という場所で、劇団俳小のアイルランド近代劇の公演が行われた。 アイルランドの近代劇は、大正から昭和初期に日本で非常に人気のあったジャンルで、新劇はもとより新歌舞伎などでも多く上演された。戯曲集も出ていたが、戦後は人気が落ちたためかなくて、今回の劇の翻訳も大正時代の松村みね子のものである。...
View Article『この国の空』
1945年夏の杉並の女家族の話。著しく気勢の上がらない映画で、普通戦時中の日本というと、戦争への動員等が描かれ、一億総動員のシーンで盛り上げるが、一切ない。 それは、荒井晴彦の意図だろうが、それも私は一面的にも思える。 というのも、左翼的立場だった関川秀雄監督の1953年の映画『ひろしま』でも、戦時中の総動員ぶりを挙国一致の民衆の姿として描いていたからである。...
View Article