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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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エイプリル・フールで騙されたことがある

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4月1日は、エイプリルフールだが、これに騙されたことがある。

それは黒澤明の幻の作品の『荒姫様』のことである。

山本周五郎原作の小説で、題材は和田竜の『のぼうの城』と同じ、忍城攻めのことで、お城のお姫様が老人、子供、百姓らの先頭に立って秀吉側の圧倒的な戦力と戦う話である。

戦時中の1945年夏に、黒澤が製作準備を進めていたのは事実で、植草圭之助の『わが青春の黒沢明』に出てくる。

そこでは、島津保次郎と徳川夢声が「ああいうのは良くない」と会話していたことになっている。

このテスト版フィルムがDVDで出たという話で、以前黒澤明DVDBOXが出された時、希望者に抽選で配布されたというのだ。

私は、是非見たいと思い、このことが書かれていたビデオ店に連絡すると、「あれはエイプリルフールで、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」とのことだった。

「嘘というものは、それを望んでいる者の想像上に生まれる」との典型のことだった。

だが、1945年7、8月頃に黒澤明が、この『荒姫様』を準備していたのは本当で、この時は『虎の尾を踏む男たち』を撮影していたというのは事実ではないようだ。

これは、8月15日以降に撮影されたというのは、ほぼ間違いないようである。

 

                 


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