1976年、東映の池玲子が日活に招かれて作られた作品だが、「10分に1回のポルノシーン」の原則に反し、肝心の池玲子のセック・スシーンはない。これで良かったのだろうかと思ってしまう。
横浜にヤクザの親分の成田三樹夫の暗殺の命令を受けて池玲子が横浜駅に来る。
当時なので、西口で、すぐに元町あたりらしい成田のビルに近づき、彼と幹部の今井健二の会話を遠いビルの屋上から、読舌術で読み取ってしまう。だが、彼女は普通の裸眼なので、数百メートル離れたビルの屋上から会話を読むのは超能力である。
今井との対立、子分の木島一郎の暗躍などもあるが、要は、いかにして池玲子が、成田三樹夫に近づいて遣るかになる。成田と妻の森秋子の間には女の子がいて。
その子を池玲子が助けたことから、森秋子がやっている喫茶店の二階に潜むようになる。
もちろん、最後は池玲子と成田三樹夫との決闘となるが、その背景には、当時まだあった野外音楽堂の塀が見えた。
戦前から、横浜にも日比谷と同様に野外音楽堂はあり、それは横浜公園に横浜スタジアムが建設されたときに、壊されてしまったものなのだ。
監督の蔵原惟二は、同様に映画『濡れたハイウエー・セックスライダー』で、やはり横浜公園にあった米軍のチャペル・センターを作品の冒頭で使っており、この二つの今はない施設を記録しているのである。