何回か見ているが、今夜は野球もないので見るが、ともかく面白い。
筋がどんどん展開していることもあるが、役者が最高。
中では、鉱山の所長の三島雅夫が最高である。
軍から特殊工人の捕虜を受けることになり、彼らのサボタージュに手をやく仲代達矢の梶に言う、
「女だよ、女だよ」
一般の日本人抗夫のために置いている慰安所の女を鉄条網で囲んでいる中国人特殊工人、それは八路軍のようだが、に与えると、歓声を上げて喜ぶ。
「人間は、男と女市かいなんだ」の三島の言の通りである。
さらに、憲兵の阿部徹の憎々しさと凶暴性、また仲代の味方をしてくれる物事を理解してくれる山村聰の友情も良い。
だが、冷静に考えると、この大作ができたのは、やはり松竹の力だと思う。
特殊工人らエキストラの多さ、助監督の一人は、大船から膨大な衣装、美術を国鉄の貨物のチッキで送った苦労を本で書いているが、やはり松竹の会社としての力である。
映画『七人の侍』が、当時の東宝の力でできたように、この映画『人間の条件』も、松竹の力以外のなにものでもない。
また、にんじんプロの若槻繁氏は、女主人公を有馬稲子としたかったようだが、監督小林正樹の強い要望で、新珠三千代にしたのは大成功だと思う。
男だけの中で、彼女の清楚さは、光輝くようだ。
衛星劇場