先週、朝日新聞の夕刊に、小泉という人が、「ブルース・リー」について書いていたが、勝新の『座頭市』について、なにも触れていないのはどうしたわけなのだろうか。
ブルース・リーのクンフー映画は、勝新の『座頭市』がヒントであることは、有名なここである。
その証拠に、リーの先輩のジミー・ウォングは、『座頭市・破れ唐人剣』に出ている。
これは、ラストが二つある作品で、日本版は座頭市が勝つが、香港版は、ウオングが勝つのだそうだ。
『座頭市』は、アジアやラテンアメリカでもヒットした作品で、キューバでも人気だったことは、黒木和雄の『キューバの恋人』のメーデーのパレードにも出てくるのだから。
もちろん、私は、こうしたことを非難しているわけではない。
大衆文化である映画や演劇では、先行する作品が、さまざまに変更され、修正され、転換されて新たに作られているものだからだ。
シェークスピアや歌舞伎でも、常に先行作品を基にして発展されたものなのだから。