あまりに暑くて、外に出るのが嫌だったので、昔の録画の藤田敏八監督、秋吉久美子主演の1974年の『妹』を見る。さらに、今井正監督で、草刈正雄と共演の1975年の『あにいもうと』も見る。
昔、松竹で監督の吉村公三郎は、島津保次郎から「いいか、映画は風俗が重要なんだぞ」と言われたそうだ。
この2本では、『妹』では、鎌倉の民芸品店、原宿のフリーマーケット、『あにいもうと』では、溝の口駅付近のストリップ劇場が出てくる。
藤田は、日活だが、製作再開後の日活には、西河克己ら多数の松竹大船の助監督が来ており、今井がいた東宝には、松竹の大監督の島津が来ていたので、彼らの薫陶を受けていたと思うのだ。
この1970年代前半は、完全に日本映画は秋吉久美子時代だったと思う。
その意味では、「日本の妹」だったわけだ。
因みに、藤田・秋吉の『赤ちょうちん』『妹』『バージン・ブルース』の3部作は、ロマンポルノ時代だったが、ポルノではなく、一般作品だったそうだ。
われわれ大人の観客には、関係ないが、公開館数など、営業上には違いがあるのだろうか。
そして、この2本は、1970年代以降の、日本の都市での家族の崩壊、分解を描いているなあとも思えた。