テレビでは、なんどか見ているが、映画館で見たのは、50年ぶりくらいだ。
高校2年くらいの時、新宿の日活国際で見たと思う。今の丸井の5階にあった洋画系の名画座で、和田誠がチラシを書いていたことで有名だが、渋谷の東急名画座と並び、東京の痴漢の巣でもあったそうだ。
さて、この『ジュールとジム』を見て、当時は一番感じたのは、ジュールとジムの友人関係、それ以上に20世紀初頭から、一次世界大戦、そしてナチスの台頭(ナチの焚書のニュースが出てくる)の1930年代に至る欧州の文化の豊かさだった。
だが、今回見て、カトリーヌに扮するジャンヌ・モローの演技の見事さ、生き方のすごさに感動した。
当時は、まったく気がつかなかったが、この映画のジャンヌ・モローの自由で自発的な演技と生き方は、世界中の女性に影響を与えたんだなあと思った。
加賀まり子、緑魔子、そして桃井かおりも、みんなジャンヌ・モローから来ているのだと思えた。
そして、自動車事故のような、自殺のような形で来る、ジムとジュールとカトリーヌとの別れ。
まあ、「青春とはかくもはかないものなのか」とあらためて思った。
さらに、この男2人と一人の女と言う構成は、フランス映画のアラン・ドロン、リノ・バンチュララ、ジョアンナ・シムカスの『冒険者たち』のみならず、アメリカ映画の『俺たちに明日はない』、さらに『明日に向かって撃て』に至っているはずだ。
また、日本でも意識的に模倣した藤竜也、三浦友和、紺野美佐子らの『黄金のパートナー』、あるいは、日活で、長谷川和彦が脚本を書いて、神代辰巳が監督した『宵待ち草』などにも影響を与えているのだなあと思う。
私は、ラストで主人公たちが再会する映画が好きで、バネッサ・レッドグレーブの『ジュリア』、ウォーレン・ベィーテーの『草原の輝き』などで、いろいろあって別れた主人公たちが、最後に再び再開するとそれだけで感動してしまうのだ。
これは、やはり芝居が好きなんだなあと思うのだ。
横浜シネマジャック