日本の音楽フェスの先駆けとして一九九一〜九六年に横浜市であった「WOMAD(ウォーマッド)横浜」を知ってもらおうと、企画立案をした元市職員の指田文夫さん(75)が、著書「WOMAD横浜 歴史から消えた日本のビッグ・フェスティバル」を出版した。二十九日には市内で、当時の出演者も招いた出版記念イベントを開く。
「World of Music, Arts and Dance」を意味するWOMADはイギリス発祥で、世界各地で今も行われているイベント。ウォーマッド横浜は九一年、みなとみらい地区にできたパシフィコ横浜のオープン記念の一環で、隣接する野外の臨港パークなどで第一回が開かれた。海外からのアーティストのほか、先月亡くなった坂本龍一さんらも参加した。
指田さんはオープン前にパシフィコ横浜の運営会社に市から出向しており、社内で企画を提案。九〇年に市に戻った後は個人的に運営する日本委員会のメンバーになり、予算の問題などで最後となった九六年まで関わった。
日本の音楽フェスは九七年に始まり現在も続くフジロックフェスティバルなどが知られる。ただ指田さんは「ウォーマッド横浜があったから他が始まった。日本のポピュラー音楽史を知ってもらいたい。フェスの内側は、今後企画する人にも参考になるのでは」と話している。
二十九日のイベントは午後二時から、パシフィコ横浜会議センター三階。指田さんと音楽評論家の藤田正さん、ウォーマッド横浜に出演したシンガーでハワイの伝統的なフラを受け継ぐサンディーさんが当時を振り返る。
チケットは前売り一般二千円、当日二千五百円。問い合わせはマルメロ=電03(5627)7583=へ。(神谷円香)