もっとも苦手な映画で、こういうのを見ると、いかに私が物語性にこだわっているかが分かった。
これを耽美的といって評価する声が多いが、これは困るのだ。
要は、意味がよく分からないのである。
ただ、言わしてもらえば、これは1972年7月で、ロマンポルノ初期の問題もあったと思える。
予告編等を見ると、公開作と、当初のシナリオは、少し違うようにみえる。
想像するに、撮ったが、省略した部分もあるようなのだ。だから、筋が分からなくなっているように思えるのだ。
話は、考古学者雪岡恵介の二人の娘、田中真理と続圭子で、そこに弟子の織田俊彦が絡んでくるが、最後二人は、心中のように死んでしまう。
夜汽車に、盲目のごぜさんたちが乗ってきたり、丹古母鬼馬二のカメラマンが出てきたり、さらに、最後女中だった女とその相棒の男との計略で、雪岡などを死なせたと言うが、これもやや意味不明である。
監督の田中登は、今村昇平の弟子筋で、今村の『エロ事師たち』では、長期に大阪にいたとのことで、これは後の傑作『㊙めす市場』になるが、今村には耽美的傾向はなかったので、意外に思う。
衛星劇場