前の『パイナップル部隊』では、巨人の宮本敏雄の名がタイトルにはあったが、登場はなかったことを書いたが、こうした例は、1960年代頃はよくあった。
今井正の映画『ここに泉あり』では、草笛光子がピアニストとしてタイトルにあるが、映像にはない。
さらに、音楽評論家湯川れい子さんも、中学校への訪問の場面に出ていて、きちんと撮影されたそうだが、これもなく、NHKテレビでの放映の際にカットされたのだそうだ。
また、東宝の『サラリーマン清水港』のタイトルには、児玉清があったが、作品にはないが、おそらく編集でカットされたのだろう。
理由は二つあり、当時は2本立てだったので、1本は1時間30分程度で、それに合わせて編集したこと。
さらに、スター以外の俳優は、会社社員で組合員でもあったので、映画にでる出ないに関わらず給与は出たので、誰にも異論はなかったからだ。
こうした俳優の待遇は、1960年代後半の各社の合理化の中で、専属制はなくなり、俳優はプロダクション所属となり、契約も異なってくる。