内田あかりのヒット曲『浮世絵の町』を基にした日活作品、途中まで見ていて普通の映画だなと思うと、ロマンポルノではなく、一般映画として作られ公開されたのだという。
監督は小沼勝で、いつもの猟奇的な作風ではなく、青春映画的である。
砂塚秀夫が率いる歌謡曲の地方廻りの一座が、雪深い新潟の町に来る。
同時に、売れない写真家の富川澈夫も駅に降りて、友人の岸田森の高校に来る。
二人は、高校の同級生で、岸田は仲間だつた田島和子と結婚していて、平凡で幸福な家庭に見える。
夜の居酒屋で内田と富川は会い、どこか意気投合する。
内田の歌はなかなか上手くいかず、砂塚とも喧嘩になる。
内田の友達は、扇ひろ子で、彼女は東京で居酒屋をやっている。
内田は、富川のアパートに行き、一緒の暮らすようにまでなる。
そこに田島和子を、有楽町で見かける。彼女は、赤ん坊を背負っていて、岸田が蒸発したので、居るらしい東急に探しに来たという。
田島と富川が東京を彷徨する中で、新宿南口の踊り場のような階段にところにあった居酒屋等が見える。
今の南口で、貴重な映像である。
富川と内田は、新潟に行き、雪の中で戯れたりするが、富川が岸田の家に行くと、なんと岸田が一人でいる。
蒸発したと言うのは田島の嘘で、彼女は新潟に赴任していた男とでき、その子を連れて東京に出て行ったのだと。
愕然とする富川。旅館で彼と一夜を過ごした朝、内田が目を覚ますと彼はいない。
雪山に消えたと内田は思いこむ。
最後、内田は、扇らの伝でCBSソニーからの新曲『浮世絵の町』の録音ができ、大ヒットして行く。
これは、1960年代に日活がさんざ作った歌謡映画だった。
衛星劇場