こんな面白い映画とは知らなかった。夏目雅子は。テレビで、小達雅子時代の演技を見ていて、あまりにひどいので、見ないことにしていたのだ。
明治の高知のヤクザというか、女衒のような男・鬼龍院政五郎(仲代達矢)の話で、非常に面白い。
この男、また周囲の男も、女たちも皆矛盾だらけの人間なのだ。
政五郎は、ヤクザで、親分の丹波哲郎の子分だが、彼が大株主の土佐電鉄で労働争議が起きたとき、組合側のインテリ山本圭の説得に折れて、組合側に立ってしまう。
山本も、富裕な家小沢栄太郎の息子だが、社会の矛盾に目覚めて運動に走る。
仲代の本当の一人娘花子は、大阪のヤクザの子分と結婚するが、その男は東京で殺されてしまい、最後は娼婦に転落し、京都で一人で死ぬ。
山本は、仲代と丹波の子分の内田良平との組の争いの中で殺される。
撮影は、森田富士郎、美術は西岡善信で、東映京都作品だが、大映京都映画みたいなもので、時代や風俗考証は正しいと思える。
音楽は、かの『砂の器』の菅野光亮とは珍しいと思う。
不思議なのは題名で、花子は、まったくの主役ではないので、これはどうしてなのだろうか。
分かる方は、教えてください。
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