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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『ポーランドに行った子どもたち』

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1951年、朝鮮戦争の最中に、戦争で生まれた孤児を、秘密裏に、ポーランド、ルーマニア、ハンガリーに移住させた。おそらくは、ソ連のスターリンによる命令で、朝鮮戦争を戦う北朝鮮を援助するのが目的だった。

ポーランドに行ったの子供たちは、約1500人で田舎の施設で生活することになる。

だが、1950年代末になると、今度は逆に金日成の命令で、朝鮮に戻される。

進んだ技術、文化を得た彼らを「祖国の復興」に役立てようと思ったのだろう。

北の政治、文化等に貢献した人も多かったようだが、金日成の独裁体制が確立する中で、「留学派」として粛正された者もいたようだ。

                   

この作品は、韓国の女性監督チェ・サンミが、この隠されていた事実を知り、劇映画として制作するつもりで、俳優のオーディションをやり、これも北からの脱北者で、中国を経て、韓国にきた女優イ・ソンとポーランドに取材旅行するところが描かれている。

北朝鮮にいるとき、自分は非常に貧しかったが、韓国はさらに貧しく、両手に2本のジャガイモを持つしかないと聞いていて、韓国にきてまったく逆であることに驚愕したと言う。

1990年代に、それまであったソ連、東欧諸国との北朝鮮への援助、有利な貿易がなくなり、金王朝下で、経済と農業が完全に破産し、餓死者が出ることになる。

北の農業がどのような物か、私はよく知らないが、おそらくは1950年代に中国で毛沢東が指導して大飢饉になった「大躍進」政策のような精神主義農業と集団化だと思う。

これは、映画化のための記録映画なので、いずれは劇映画として作られるようで、それも期待したい。

音楽も抒情的で非常に良かった。

横浜シネマリン

 


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