なかなか難しい問題だと思う。
犯人山上は、「安部晋三元首相の思想に反対なのではない」と言っている。
旧統一教会の思想的立場から考えれば、山上と安部晋三は、ほぼ同じだろうと思える。
だが、少し離れた目で見れば思想的立場は、ほとんど同じではないかと思えるのに、激しく闘争する例は、いくらでもある。
日本の新左翼が行なって来た、愚劣な「内ゲバ」がそうである。
革マルと中核の殺仕合いが代表だが、実にくだらないことだった。
他の党派間や党派内でも、内ゲバはあった。その際に起こるのは、近い者同士ほど、激しい闘争になったことである。
いわゆる近親憎悪である。近いが故に離れられず、遠い物よりも強く憎みあうことだ。
山上容疑者にとって、一番に組むべきは、母親であり、旧統一教会であるはずだが、それはできず安部晋三元首相になったわけだ。その心性はわれわれには理解しがたいが、彼にはそこに行く理由があったのだろう。
そして、実行に至る。
今回の安部晋三元首相殺害事件も、近親憎悪、内ゲバ事件的意義があるのではないかと私は思う。
ここで、重要なことは、安部晋三氏も、旧統一教会も、反民主主義的立場にあることだ。
その意味では、反民主主義的行動の事件だといえるだろう。