テレビを適当に廻していたら、井上ひさしの未発表原稿が鑑定に掛けられて、300万円とされた。
途中から見たので、経緯は分らないが、この出した女性が持ってきた井上ひさしの未発表原稿が本物だとしても、価値と所有権はあるのだろうか。
私は、所有権はないと思う。
文学の価値と権利は、つまり著作権は、書かれている中身にあり、原稿そのものにはないからだ。
昔、編集者の安原顕が、村上春樹の小説の原稿を古本屋に売っていた事件があったが、これも同様で本来は価値がなく、著作権は原稿にはないからだ。
まあ、一部の好事家にしか原稿そのものの意味はないと思うのだ。
ただ、井上ひさしが亡くなっている今日、その権利は娘たちにあるはずで、彼女らと原稿の所有者との話し合いになると私は思う。
私が思うのは、晩年の井上のメインのテーマである、天皇制批判があるかどうかである。
1950年代末の作品のようで、ぜひ上演してもらいたいと思う。