銃撃で亡くなれた安部晋三元首相について書くと、死者に対して不謹慎だと来るだろう。
だが、ここは冷静に書いておきたい。
彼が、首相になってすぐに唱えたのが「戦後レジームから脱却」である。
1945年の敗戦後、日本社会党の片山哲内閣以外の政権は、自民党によって担われてきたのだから、戦後レジームからの脱却は、自民党政治を否定することで、これは自己矛盾以外のなのものでもないと思った。
だが、なんと言うことか、安部晋三元首相は、一人の男の銃撃で亡くなれてしまった。
まさしく、戦前のテロの時代のように。
だが、一つだけ、戦前と大きく異なることがある。
それは、銃撃の犯人を称賛する意見が見られないことである。
戦前の首相等の要人テロの際は、多く犯人側を称える言説があった。
それは、原敬射殺から2・26事件に至るまで、被害者よりも加害者を「よくやった」として称え、助命嘆願する動きすらあった。
だが、今回は、犯人の山上容疑者を擁護する意見はないように思える。
その意味では、現在の日本に戦後レジームは、浸透し定着していると思える。