ユーチューブを見ていたら、『陸軍中野学校・開戦前夜』があったので、井上昭監督を追悼して見てしまう。
私の考えでは、これと『座頭市・二段切り』が井上監督の最高作だと思う。現代劇と時代劇の両方で名作を作っているのは、彼の師匠の森一生が『薄桜記』と『ある殺し屋』の名作を作っているのと同じだろう。『陸軍中野学校』は、1作目は増村保造監督で、東京で作られたが、2作目からは京都で作られたという珍しいシリーズである。おそらくは、長谷川一夫、山本富士子の2大スターを失っていた大映の中で唯一のスターだった雷蔵を取り合っていた撮影所の事情があったのだと思う。『座頭市』の勝新は、当たってはいたが、表舞台に出すべきスターではなかったのだから。
さて、この『開戦前夜』は、椎名次郎の雷蔵が香港に行き、イギリスの諜報機関P機関の情報を取るところから始まる。そこで雷蔵は、小山明子と出会う。雷蔵を助ける海軍少尉は細川俊之で、その恋人は織田利枝子で、この人は大映の清純派女優の一人だった。東京に戻ってくると、御前会議の決定がP機関に漏れていることが分り、学者の大家邸からと分る。清水将夫で、貫禄がある。そして、大家邸に来る海軍上層部の情報が、看護婦の橘公子、薬屋の木村玄、喫茶店主の久米明、画家の船越英二、レントゲン技師へと伝えられセント・ジョセフ病院のスパイの親玉ピーター・ウイリアムスへと伝えられていることが分る。
さて、これをみて思ったのは、今のロシアのウクライナ侵略をみて思うのは、1930年代の日本と中国のことだ。
日本が満州国を持っていたように、ロシアは、クリミアとドネツクとルガンスクを自分の属領としている。
そして、自国民保護を目的に他国であるウクライナに進撃した。
ついには、ウクライナの首都キエフを攻撃している。
日本は、当時の中華民国の首都南京を占領したが、蒋介石は重慶に行ってしまった。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、亡命政権すら作る覚悟のようだ。
ロシアが、日本のように世界戦争への引き金であった真珠湾攻撃をしないことを祈りたい。