1968年、この頃、日本映画界は、混迷の中にあったが、松竹もその一人で、大変に変な作品を作っていた。
この夏に、『吸血鬼ゴケミドロ』と『黒蜥蜴』を上映したら意外に当たったというので、その続編のような企画としてこれができたとのこと。
脚本は、前作の小林久三と大映系の下飯坂菊馬で、不思議な組合わせだが、前作の東映系の高久進から代わっている。
この辺は、次第に五社協定が有名無実化して、他社のスタッフを使うようになったからだろう。
小林久三の『雨の動物園』を読むと、下飯坂氏との共作は順調にでき、最初の車内での準備稿の本読みのとき、
監督の松野広軌氏は、
即座に「これは面白い!」と言ったそうだ。松野氏は、松竹京都の出で、この頃京都撮影所閉鎖で大船に移籍していた。
話は、貨物船に奴隷のように繋がれている男女がいて、それを金子信夫らが射殺してしまう。
そこには、主演の松岡きつこと西村晃がいるので、この二人が殺されて筋はどう進行するのかと思う。
3年後、湘南の海岸の教会に、松岡きっこ住んでいて、神父は岡田眞澄。
当然、この松岡は、双子の妹という設定になっている。
海岸でヨットハーバーとレストランを経営している男がいて、入川保則。二枚目だが、藤田まことによく似ているのでおかしい。
二人は愛し合っていて、モーターボートで海に行き、水に潜ると、当然松岡はビキニなる。
水中で、二人は、髑髏の群れを見る。
そのうちに、霧の海の中に不気味な貨物船が現れ、そこに松岡は乗り込んで行く。
金子は、キャバレーを経営していて、妻は谷口香、そこに飲んだくれの内田朝雄が来て、金をゆする。
彼らは、貨物船が積んでいた金3億円を強奪した仲間だったのだ。
また、潜水夫の山本紀彦が死ぬが、彼も金子たちの一味だった。
貨物船から逃れてきた松岡が、教会に来ると、岡田の正体がばれる。
彼が、一味のボスだったのだ。
そして、驚くのは、金子、岡田、内田、谷口らが船に行くと、底には西村晃がいて、鉄をも溶かす薬ができたと言う。彼は、なんと研究者だったのだ。
西村は、岡田、金子らを全部溶剤で溶かして殺してしまう。
最後、海岸の教会から、船が爆発するところを松岡は見るのだった。
かなり、筋がおかしいが、これは小林の本を読むと、貨物船を貸した会社の社長が作品を見て激怒したので、かなりの部分をカットしたからなのだそうだ。
この後、小林は松竹を辞め、松野監督は、松竹京都のテレビ映画の監督になったそうだ。
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