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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『水俣曼荼羅』

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私が今までに見た映画で、最も長い作品の1本であり、入場料の高い映画でもある。

6時間以上、3,900円だが、それに十分に見合う面白さだった。

            

作品としては、第一部が非常に面白く、浴田熊本大学教授が、水俣病の病原を明かすところが非常に面白い。

従来、水俣病は、有機水銀中毒のよる末梢神経の障害とされてきたが、浴田教授は、そうではなく、大脳の細胞の損傷による障害であることが明かされる。

それは、私が経験した脳梗塞にもよく似ている。

私は、2001年7月に倒れた時は、左半身マヒで、左の手足が動かなかった。

今も、左足の足首から下は、自分では動かすことはできない。

だが、感覚は当初から完全にあり、痛み、熱さ、寒さは完全にある。

これは、人間の末梢神経は、二本あり、動かすのと感じるのと2本あるからなのだそうだ。

私の場合は、動かす方の神経の細胞がやられて消失しているからが、感覚の方は生きているからなのだそうだ。

この映画でも、手を動かすことができるが、感覚がないために手の指を切ってしまった方の例が出てくる。

つまり、有機水銀が、水俣の窒素の工場から廃液として出され、それが水俣の海の魚介類に食されて凝縮し、濃度が上がり、それを食べていた漁民たちが水銀を取って、脳細胞に障害を起こして水俣病になったのだ。

人間がなる前に、魚を食べていた猫が狂ったような動きをし、そして死んだというのだ。まことにひどい話である。

また、水俣病も、脳梗塞のように、ある日突然に障害が起きたのだそうで、次第におかしくなったと言うのではないようで、それも脳梗塞みたいだ。

第二部では、土本典昭が監督した映画『患者さんとその世界』での、チッソ株主総会での患者の「怨」の決起の様子も引用される。

また、私も見たNHKの『日本の素顔』での「奇病をこえて」の冒頭のガラス越しに患者の姿が映されるシーンは、患者ではなくNHkのスタッフの演技であったことも明かされる。

第三部は、かなり長くて、ここは第二部と一緒にして1本にした方が良かったのではないかと私は思ったが。

 

第一部の冒頭の環境大臣・小池百合子の「カエルの面にションベン」の態度、最後の熊本県知事樺島郁夫ですら、国の指示に従わざるを得ないのには唖然とする。

環境行政みならず、日本の国と地方の関係は、現在の沖縄の辺野古問題にも見られるように、依然として大問題であり、根本的に直さなくてはいけないとあらためて思った。

横浜シネマリン


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