今回の衆議院選挙の結果は、自民党の絶対多数となったが果たしてそれは、国民の意思をきちんと反映させたものなのだろうか。
それは、小選挙区制の結果にすぎず、国民、投票者の意思とは大きく離れたものなのである。
比例区での各党の得票割合を以下に示す。
政党名
比例区での獲得割合
比例割合に応じた議員数
獲得議員数
増減
自民
34.6
161
261
100
立憲
20.0
93
96
3
公明
12.3
58
32
―26
維新
14.1
65
45
―21
共産
7.24
33
10
―23
国民
4.5
20
11
-9
れいわ
3.8
18
3
―15
社民
1.7
8
1
―7
このようの、自民は34%しか得ていないのに、絶対多数を取ったのは、やはり小選挙区制の結果なのである。
この表を見て、興味深いのは自民のみならず、立憲民主党も得をしていることだ。
以下の各党は、その分損をしている。社民ですら、比例で計算すれば8議席なのだから。
これで、国民の意思がきちんと反映されたと言えるのだろうか。
私は、この制度は明らかに間違いだと思う。
このように国民の意思をきちんと反映させていないことに加えて、現在の政治的傾向も反映していないと言うことだ。
つまり、言えるのは、自公絶対ではなく、多党化しつつあると言うことだ。
これは欧州各国や英国と旧英国植民地国でも同様で、先進国で二大政党制が今も有効なのは、アメリカだけないである。
アメリカは、州、地域、市などで、住んでいる住民の階層や地位が明確に分かれているので、小選挙区でもそのエリアでは大多数だから、小選挙区制は有効なのだ。
だが、現在の日本で住民が明確に区分されているような地域ってあるのだろうか、ほとんどないに違いない。
事実、大都市では、隣人でさえ、政治的意思など分るわけもないと思う、
では、どうすれば良いのか。
比例区を増やすという手もあるが、それよりも私は次の方法を提唱したい。
1 投票は、現在のように小選挙区で行なうが、そこでは当選者を決めない。
2 次に各比例区毎に各党が得た票を集計して合計の割合をだす。
3 その割合に応じて、各党の議席配分を決める。これなら、国民の意思を反映させる議席数になる。
4 無所属をどうすかだが、これだと無所属がほとんど出られない。
そこで、その小選挙区で、他の党派の得票合計を上回るような無所属、つまりその区の絶対多数を得た者
は、当選者とする、と言った方法があると思う。
これは、現在の小選挙区制度で、できる限り各党派の得票を正確に反映させようとするもので、他にも方法があるのならご教授いただきたいと思う。
自民党は、絶対に乗ってこないだろうが、「聞く耳」を持つ岸田文雄総理に期待したい。
なぜ、このようなことを提唱するするのかと言えば、私は大学卒業後に、11年間、横浜市会という地方の政治の中にいて、現在の日本の政治を危惧するからである。
かつて自民党は、「金持ち喧嘩せず」で、国民政党として、反対党である社会党や共産党の意見も取り入れる柔軟性があった。
だが、小泉純一郎の構造改革以後、自民党は、ネツト右翼的な、声の大きな者に従う政党になってしまった。
また、それでも「改革は不足だ」とのことで、さらに右翼的改革を叫ぶ日本維新の会が出てくる。
これは、中国や韓国の台頭に対する反発も大きいが、現実的に中国は大国なのだから、これに反発するのは馬鹿である。
「負ける喧嘩はしない」が喧嘩の正しいやり方なのだから。
そして、この方法を提唱するのは、現在の小選挙区制を半ば肯定して、改善することを考えるためだ。
一応、小選挙区制の、「勝つか負けるか」は面白いので、そこは現象としては生かす。
選挙は、民主主義のお祭り、イベントなので、その意味では小選挙区制は面白い。
共産党は、全国1区の比例代表制を言っていたはずだが、これでは余り面白くないので良くない。
そこで、この小選挙区・比例制を提唱するものだ。
さらには、現在の「公営掲示板制度」は止めて、昔のように各党の支持者が自由にポスターを掲示するのにした方が良いと思う。
公営掲示板制度は、公明党が国政選挙に出てきた時、町中に多数のポスターを貼ったことに恐怖した自民と社会党が公明を閉め出すために作った制度で、これは止めるべきだと私は思うのだ。