ダークダックスなどが歌った『山男の歌』がヒットしたので作られた映画。松竹にもあり、篠田正浩監督で、もう少し面白い映画だったが、これはばかばかしいでき。監督村山三男。
まず、崖地で登山の訓練が行なわれている。大学の山岳部のようで、藤巻潤や小林勝彦らが部員。
藤巻は、貧乏学生でビアホールでバイトしている。小林の家は、父の見明凡太郎は会社社長で裕福のようだ。
歌声喫茶で、歌が唄われていて、ステージにはダークダックスが歌っている。
私は、この歌声が大嫌いで、自慢じゃないが、この歌声的な運動や店にも参加したことは一切ない。
歌声運動は、戦後に民青と共産党が初めてものだとされているが、その前に、戦前、戦中の国民歌謡があったと私は思う。私は、このコーラスという皆で声を合せて歌うことが嫌いなのだ。
小学校のとき、無理矢理選抜されて、大田区合唱大会に出されて落選した性だろうか。このとき、音楽大出の若い女性の先生の選曲で、メキシコ民謡の『ラ・クカラーチャ』を歌ったのだが、予選敗退だった。このとき、先生は号泣していたが、私が最初に大人の女性が泣くところを見た場面だった。
映画では、小林と藤巻は、共に同じ大学にいる経済学部の三条江利子が好きだが、この時代の作品なので、肉体関係はおろかキスもしていない。
見明は、小林の誕生日のお祝いに三条を招き、その帰りについに小林は、三条に告白してしまう。
すると、三条は藤巻の方が好きだと言う。
二人は、仲良く剣岳に登山する。
山については、詳しくないので良く分らないが、ある岩場に二人は着く。
小林は先に登り、そこから「ザイルを30メートル作れ」と叫び、藤巻が新たに30メートルのザイルを結ぼうとしているとき、小林が落下してきて、ザイルを結ぶ直前だったので、そのまま落ちて死んでしまう。
これは、藤巻のミスか、小林の自殺か問題になる。
見明凡太郎の娘が近藤恵美子で、彼女の夫が、大学の山岳部の先輩の丹羽又三郎で、真実を究明するため、彼は藤巻と一緒に剣岳に登る。
そして、事故現場に来て、藤巻は先に登り、そこで崖の新しい登り先を見つける。
つまり、小林は、新しい登山口を見つけたので、そこから登ろうとして落下したことが分かり、メデタシメデタシ。
当時は、まだ登山ブームが続いていたので作られた作品で、大映には『氷壁』『妻は告白する』などの、傑作登山映画があるが、これはそこまでは行っていない。
衛星劇場