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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『戦争と人間・第一部運命の序曲』

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『戦争と人間・第一部運命の序曲』を見る。1980年8月14日に公開されている。

 

                               

この頃は、まだ翌年に日活がポルノに転向するとは誰も思っていなかったのだ。

また、ポルノに転向した時も、最初は3本柱で、一つはこのような大作、もう一つは児童映画、そしてロマンポルノだつたのだが、結局ポルノ1本になった。

新興財閥伍代家の話で、製作にはまず伍代邸が問題になったらしい。東京近郊を探したがなく、神戸にあったとの姫田真佐カメラマンの意見で、神戸に行き、乾船舶社長の家に決まる。

もちろん、内部は使用できないので、外観と庭先(二部で、北大路と山本が剣道をしているのはここ)は使わして貰い、内部は美術スタッフが完璧なスケッチを取ってスタジオに建てた。

この乾邸は、今は保存されているそうだ。

伍代の当主は滝澤修で、弟が芦田伸介、滝澤の長男は高橋悦史で、次男は日活には珍しい中村勘九郎である。

2,3部にも女中頭で、水戸光子が出ていたので、当然「これは滝澤のものか」と思ったが、ここでお手つきと説明されている。女中が主人のものであったのは、良くあったことで、左翼的に批判すれば家城美代司監督の『異母兄弟』となるが、山本薩夫は、そんなことは問題にしていない。家城も、山本も元は、松竹大船で、共に共産党なのだが。

プロレタリア画家が江原真二郎で、その弟は吉田次昭で、この頃の青春映画の常連だった。2部では、山本圭になる。

伍代家の長女が浅丘ルリ子で、相手役は陸軍将校の高橋英樹、なにしろ石原裕次郎も奉天の外交官として出てくるのだからすごい。

これを見ていて、石原裕次郎が本当に作りたかったのは、「こういう歴史ロマンだったのでは」と思った。

歴史の復習みたいになるが、ついに満州事変から満州国成立になる。

スター俳優と新劇役者を組み合わせる構成が非常に上手く行っているが、これは制作再開当初から劇団民芸と提携してきたからだと思う。

 


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