千葉真一が、コロナで亡くなったそうだ。彼の最高作を考えて見た。
「千葉ちゃん祭り」で、見たかった『カミカゼ野郎・真昼の決斗』が上映されるので、行くと、これはアクションコメディーで特にどうと言うことはなかった。だが、『沖縄やくざ戦争』が最高だった。
『カミカゼ野郎』は、にんじんくらぶが『怪談』で倒産した後、台湾の映画会社と合作で作ったもので、なかなか上映されず、その性でピカピカの画面だった。対して『沖縄やくざ戦争』は、なんと13分間も短いもので、画面もかなり白くなっていたが圧倒的に面白かった。何といっても国頭を演じる千葉真一の凄さで、『仁義なき戦い・広島死闘編』の大友勝利と同様、単純武闘派が最高に面白い。「戦争、大好き!大いにやろうじゃないの、俺たちはアメリカとも戦争したじゃないの、ヤマトのやつらが来るのを黙って見ているの!」
こんなに痛快な台詞を聴いたことはまずない。沖縄の返還を迎えて、沖縄の暴力団は、長老の織本順吉を会長に「琉盛会」を結成していたが、皆バラバラで、特に千葉が演じる国頭の異常な暴力性が会を破壊していく。
彼は、那覇のクラブで騒いでいる本土のヤクザ曽根晴美が気に障り、彼からマイクを奪い取り、空手の型を見せつけて追い出し、ホテルの前で車で轢殺してしまう。曽根は、本土の組(山口組のことだろう)の幹部だったことがわかり、協調派の成田三樹夫は、松方弘樹と共に大阪に行き、会長の梅宮辰夫に詫びる。
梅宮の条件は、千葉を殺すことで、本来兄弟分だった千葉と松方が殺しあうことになる。
この時、使われるのが尾藤イサオと渡瀬恒彦で、共に久米島出身で、沖縄本島から差別される人間だった。
何とか逃げようとする織本も殺され、成田も、松方に狙われ、最後梅宮と一緒にクルーザーで釣りをしていると、いきなりモーターボートが来て撃ち合いになっるところでエンド。13分不足で、千葉が尾藤と渡瀬に殺されるシーンがそっくりなかったのが残念だったが大いに満足した。老婆役で岡島艶子が出ていた。
因みに、この映画は沖縄では公開されなかったとのこと。そりゃそうでしょうね。シネマヴェーラ渋谷
ぜひ、この傑作を是非上映してもらいたいと思う。