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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『東京裁判』

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これを映画館で見るのは3回目で、最初は公開時で、次は10年くらい前にシネマジャックで、今回は4Kにしたというので、見に行く。

                     

4Kによって映像はさして変わっていないが、音は相当に変わっている。

佐藤慶の声は強くなっているし、武満徹の音楽の響きも良くなっている。ただ、南京事件の映像で、人を殺して埋めてしまうシーンについては、中国の再現映画とタイトルされていて、この映画の問題点はなくなっている。

戦後、連合軍がポツダム宣言に基づいて行った東京裁判の記録で、当時から米軍はすべてを撮影していると言われていた、しかも、同時録音で。

膨大にあったフィルムを編集して4時間にしたもので、大変に面白い。

前半は、裁判が始まることから、戦前の昭和初期の復習のようで、やや面白しろみに欠ける。

休憩後の後半では、個人反証が行われる。

中では、東郷元外相と島田元海軍大臣の開戦通告を巡る論争、さらに木戸幸一内大臣の御前会議の際の昭和天皇の意思、さらに東條英機元首相が、不意に言ってしまった「天皇の意思に反して云々」の証言が面白い。

最後の東條英機元首相の証言の訂正については、都留重人なども関わっていたと記憶している。

これを見て思うのは、ここには主人公が二人いないと言うことだ。

一人は、勿論昭和天皇で、もう一人は近衛文麿である。

アメリカは、戦時中から天皇免責を決めていたが、それを作り出したのは、ここでは描かれていないが、元駐日大使だったジョセフ・グルーである。

彼は言った「天皇は、女王蜂であり、彼がいなくなったら、日本という蜂の巣はバラバラになってしまう」

これは、至言だと思う。もし、米軍が何らかの形で昭和天皇を裁判に掛けていたら、反米感情は激化し、日本は共産化していたかもしれない。

その意味では、日本国憲法の象徴天皇制と国民主権、平和主義は、現在にまでの日本の平和と繁栄を作りf出したのである。

それは、現在の「小室問題」への過激な反応を見れば明らかだろう。

さて、近衛文麿が自死してしまったのは非常に残念なことで、昭和天皇が言った

「近衛は弱いね」はまさに正しい。

だが、それは同時に、木戸幸一や昭和天皇らの「欧米派」の弱さでもあったのだ。

横浜シネマリン

 


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