作家大岡昇平の説によれば、「公有地、つまり道路や公園等は変化しないもの」だそうだ。
だが、横浜は、結構変わっているエリアが多い。
その典型は、横浜駅東口だろうが、西口はそれほど変わっていない。
前にも書いたと思うが、以前の横浜駅東口が出てくるのが、吉永小百合・浜田光夫の1963年の『泥だらけの純情』である。
当時は、今の上野駅のような立派な駅舎があったのだが、今のルミネとポルタに変わっている。
最近、見たなかでは、その前年の高橋英樹の『激しい河』の冒頭にも出てきた。
これは、高橋が医者で伊豆の田舎の漁村を船で廻るという変な映画だが、二つだけ見所がある。
それは、キャバレーシーンで、ジプシー・ローズが出てきて踊ることだ。後に、ロマンポルノでも主人公として描かれた彼女だが、そこでは本物が出ている。
もう一つ、ポール聖名子(みなこ)も出てきて歌っている。
ポール聖名子は、当時ラテン等を歌っていた歌手だが、実はシリア・ポールのお姉さんなのだ。
シリア・ポールは、当時関西では有名な子役だったそうで、松竹作品に結構出ている。
私が見たのでは、佐田啓二・岸惠子のメロドラマ『亡命記』で岸の子供で、さらに伴淳の『二等兵物語』には、現地の南島の子供役で出ていた。
彼女が、大滝詠一のラジオ番組で言っていたのでは、「高田浩吉の時代劇に出ていた」そうだが、見たことがない。
『激しい河』で、高橋英樹の相手役は和泉雅子で、当時15歳だが立派に演じているのはさすがである。
彼女は、非常に演技の上手い女優で、それは浦山桐郎の『非行少女』を見ればよく分ると思う。