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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『悪名一代』

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前にも書いたことがあるが、大映京都の監督で、地味だが好きだったのが安田公義で、特に有名な作品はないが、シリーズもので良いのがある。この『悪名』は田中徳三が多く、安田は珍しい。勝新太郎の朝吉親分のところに、田宮の朝次から手紙が来て、ケンカで人を傷つけたので、当分別かれると言ってくる。朝吉も、旅に出て山陰地方らしいが、列車中で渡仲居の森光子と出会う。ある所で、朝吉は浜田ゆう子と知り合い惚れてしまい、その後を追うと地方の町に行き、シルクハットの二代目の長門勇の女であることが分かる。                  
シルクハット親分の初代は永田靖で、この人は俳優座で共産党だったが、戦前からなぜか大映では悪いやくざ役を演じていた。また遠藤辰雄も出てきてこの辺は複雑になる。彼も、東映のやくざ映画の悪役で有名だが、皆京都の大映と東映に出ている。その町には、強い親分の小池朝雄の組もあり、この3組が対立して複雑になる。浜田を巡ってやくざの対立になるが、その裏には浜田の母親がアメリカから3億円を持って故郷に帰って来ることがあり、黒澤明映画で有名な本間文子であり、結構いい俳優が出ている。もちろん、最後はやくざと勝新太郎、田宮二郎のアクションになる。
脚本は依田義賢で、テンポも良いが、全体には少し問題がある。それは、時代設定がよくわからないことで、「3億円」と言っているので、1960年代の現在のことみたいだが、駅で本間を出迎える連中の幟は旧字で書かれている。米国に移民した者が大金を持って故郷に戻ってきたのは、戦前のことであり、この辺は混乱しているように見えた。日本映画専門チャンネル

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