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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『天国に一番近い島』

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森村桂原作の映画は、ずいぶん昔に作られている。日活の『私、違っているかしら』で、吉永小百合の主演、監督は松尾昭典で、結構いい映画だったと思う。吉永は、歌人の淡島千景と二人で生きている女学生で、いろいろ人生について悩むと言う話だが、ここでも主人公はドジな女学生になっている。
森村は、結婚して池上の高台に住んでいたので、散歩していると区民会館付近でよく見かけた。意外にも大柄な女性だった。
       この映画は、亡き父親から、天国に一番近い島と聞かされた原田知世の真理が、正月休みでニューカレドニアに行く、「旅行記」である。16歳の真理は、いつもドジとのことで、いろいろとパックツアーとは異なる行動をしてしまい、添乗員の小林稔侍からはいつも怒られる。彼女が言う、「ドジ」は、要は原田自身の思い入れが強く、さらにファーザー・コンプレックスに起因しているはずだ。要は、幼児的なのだが、監督の大林宣彦は、それを上手く演出している。それは、森村桂さん自身が、ファーザー・コンプレックスと強い思いれを持っていたためだと推測される。彼女は晩年は、精神を病んでいたと聞いている。男性として、峰岸徹が出てきて、彼女をレディとして扱ってくれる夢のような時間もあり、また日系三世の少年・高柳良一との淡い恋もある。だが、最後に来ると、この原田知世の真理は、刺身のつまであり、本当は元恋人同士の峰岸と、原作者を思わせるエッセイストの赤座美代子との再会と恋の成就であることが分かる。赤座は言う、「愛は、自分の物語を紡ぐものなのね・・・」そこには、彼女と一緒に来て、潜水艦で戦死した夫を海で弔う乙羽信子の挿話もあり、反戦平和への大林監督の願いが秘められている。阪本善尚のカメラが非常に良い。撮影は、おそらく順撮りだったと思われ、最後になるほど原田の顔が陽に焼けてくるのがおかしい。


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