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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『金の卵』

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1952年の東宝映画で、電球工場の女工から東邦映画のニュー・フェイスに応募して合格し、スターになる女優・島崎雪子の話。この頃は、日本では映画が最大の娯楽で、各社はニュー・フェイスを募集していたが、大体10年後の1960年代前半にはなくなる。この頃から、テレビを中心として映画会社より芸能プロダクションの影響力が強くなっていく。東京下町の電球工場の職員の島崎の千葉の自宅に、東邦ニュー・フェイス応募の書類審査に合格した通知が来る。甥の井上大介が、紹介者にも賞金が出るとのことで応募書類を出したのだ。島崎には、同じ工場の事務職員で恋人の小泉博もいて、いやいや応募するが合格する。同じ志願者には香川京子もいるが、彼女はサイレント時代からの女優杉村春子の娘であることを、審査員の山本嘉次郎に言われる。山本の他、豊田四郎、谷口千吉らも出ている。
                     島崎は、香川らと共に合格し、ダンス、日舞、演技等の訓練が行われ、早速香川はある作品(相手役は池部良)に配役されて、少し撮影も進むが病で倒れて、ついには死んでしまう。悲嘆にくれる杉村春子。香川の代わりになったのは、勿論島崎で、撮影が進み、さらにいろんな作品に出る。中には、成瀬巳喜男監督の『めし』のような感じのカットもある。これに島崎は、上原謙の姪として出て、大阪の上原と原節子夫妻の仲を騒がせる問題児として出て好演している。島崎は、黒澤明の『七人の侍』でも、野武セリに盗られた土屋義男の妻として出ている。彼女は、藤本真澄の藤本プロダクションの「3人娘」として有名で、杉葉子、角利枝子らと共に主に東宝作品に出ていた。3人とも大柄、西欧的で、原節子似だが、これは言うまでもなく藤本真澄の好みである。
島崎の家は、千葉の文房具屋で、母は滝花久子、兄小林桂樹も妻中北千枝子も真面目で芸能には興味がなく、撮影所にも遠いので、東京の叔父見明凡太郎・沢村貞子の家に下宿し、金銭的なことも見明に任せている。東宝作品に大映の見明が出てくるのはなぜかと思ったが、その通り彼は金銭を初めいろいろと問題を起こす。まずは、他社との交渉を示唆し、これで東邦からギャラの引き上げを得る。それで、島崎は東京に豪邸を建て、母親と一緒に住む。また、弟は小泉の紹介で工場で働き、女工の岡田茉莉子とできていて、妊娠させているが、工場を辞めて遊興に費やしている。岡田は、島崎の豪邸に来るが、適当に追っぱらわれる。だが、島崎は、それに苦悩し、銀座のバーで深酔いして翌朝、ロケ・バスの集合に間に合わなくなる。仕方なくタクシーで駆けつけるが、運転手は藤原釜足とは。途中で、交通事故になり、藤原は死ぬが、島崎は足の骨折ですむ。「悪運が強いわね!」と言われるが、島崎は療養に引き込む。半年後、そこにプロデューサーの二本柳寛が来て、脚本を持ってくる。それは、足が不自由の役だが、島崎はきっぱりと断り、「自分の足に不自由はない」とすっくと立つ。要は、周囲がどのように見るているのか確かめるために、骨折を装ったのだと。その彼女の部屋の床に、スタニスラフスキーの『俳優修業』(山田肇訳)があった!そして、撮影所に復活したお姫様役の島崎雪子は、従者の杉村春子と共に、豪華な時代劇の衣装で撮影所の見学者の見ている前を歩き、スタジオの中に消えていく。
島崎雪子は、この後東宝からフリーになり、東映、新東宝や松竹の作品に出る。松竹京都で、貧乏助監督の神代辰巳とと知り合い、1960年に結婚する。これは大変な話題で、小学生の私でも知っていたほどだ。松竹京都では、あまりぱっとしない助監督の神代と一緒になったことは、後の日活ロマンポルノでの神代の活躍を見ると、島崎には男を見る目があったことになる。3人娘の中では、杉葉子は、東宝の主演女優の一人として多数の作品に出た後、結婚して引退した。以前、大映の映画を見ていて、たいしたことのない脇役で「見たことがある女優だな」と思うと、角利枝子で大変に驚いた。女優の人生もいろいろとあるものだなと思った。衛星劇場

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