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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『炎の肖像』

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1974年1月4日に、横浜日活で見ている。たぶん、仕事初めの午後、見に行ったと思う。併映は、『宵待草』で、神代辰巳監督、高橋洋子主演のこれはよく憶えているが、沢田研二主演のこれは、今回見てほとんど憶えていないことに気づいた。仕事初めで飲んだ酒で寝ていたのだろうか。
         
冒頭に海辺のホテルの部屋でベッドシーン、「体でかいな」と思うと、秋吉久美子ではなく、中山麻里だった。操車場で彼女は自殺する。沢田が東京のマンションに戻ると、父親の佐野周二が、「外にいたよ・・・」と秋吉を部屋に入れる。佐野は、「サン・モニ」の関口宏の父で、松竹の二枚目だったが、彼は不思議にもこの時期は非常に軽い脇役で出ている。最高は、池内淳子の『花影』での、青山二郎役で、「よくもかつてのスターが、こんな役をやったな」と見るたびに思うが、偉い。骨董商で、出物があったので京都から出てきたという。電話が掛ってきて、沢田が秋吉と喫茶店に行くと、原田美枝子がいて、中山の妹で、「姉は自殺した」と詰問するが、沢田は取り合わない。沢田研二と井上バンドのライブも挿入されるが、先日死んだ岸部四郎は、ザ・タイガース以後のことなのでいない。沢田が、海岸付近で大門正明らと喧嘩する話もあるが、理由は不明。大型トラックの運転手地井武男との道中もあり、佐野周二と飲みに行くバーのマダムは、朝丘雪路と結構多彩な配役。どこかの体育館で開催された「ジュリー・ロックン・ロール・サーカス」では、内田裕也と沢田のデュエットもある。沢田が山手線に乗っているシーンもあり、降りてキヨスクに行くと秋吉が店員で、彼女とは渋谷の外れの沿線でキッスし、お待ちかねのベッドシーンもある。最後、町で地井のトラックを見つけて乗り込むと、妊娠した女房を迎えに行くとのことで、ある町で止めて妊婦を乗せると、彼女は薊千露こと鈴木仁美。彼女は都立小山台高校文化部演劇班の2年下にいて、日大芸術学部に行って女優になった。篠田昌浩の『無頼漢』にも出ていたはずだ。これは、藤田敏八と加藤彰との共同監督になっていて、二人がどのように分担したかは分からない。

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