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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『ヨーム・キプール 勝者なき戦場』

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1973年10月6日、エジプトとシリア軍がイスラエルに攻め込む。
この日は、ユダヤ教の「ヨーム・キプール 贖罪の日」で、一日何もしない日だったので、シナイ半島、ゴラン高原の双方でイスラエル軍は敗退する。これは、戦後の中東戦争で初めてのイスラエルのアラブ側への敗北で、イスラエルの不敗神話が壊れた時だった。
イスラエル軍が敗北したのは、もちろん「ヨーム・キプール」だったためだが、さらにイスラエルは大きな常備軍を持たず、戦争になると予備役を招集して増強させる体制でもあったためだ。これは、民主主義国では、予算の問題があり、議会は絶えず軍事費の削減を求めるからで、日本に真珠湾攻撃されたアメリカもそうで、直ちに臨時招集を掛けて陸海軍を増強したのだ。
この映画の始まりは、招集を受けた二人の若者が任地に車で行くところで、途中で将校を載せていく。

                   

このヨーム・キプール戦争(イスラエル側の言い方で、アラブから見れば「10月戦争」)は、イスラエルからアメリカへの武器貸与要請によって増強されたイスラエル軍の反抗になり、一時は核兵器の使用も示唆されたことにより、ソ連の和平への強い働きかけによって、イスラエル・エジプトの和平になる。後には、平和条約締結とシナイ半島返還になる。
また、これのアラブ側の「反抗」として、西側諸国への石油輸出制裁になり、日本ではトイレットペーパー騒動の「オイルショッック」に至る。

監督のアモス・ギタイは、この戦争を実際に体験し、1994年にドキュメンタリー『戦争の記憶』を作っていて、それを発展させたものだそうだ。
一部は、昔テレビで見たように思うが、よく憶えていない。



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