1956年の松竹京都の時代劇で、主演はエースの高田浩吉。
彼は、歌舞伎の三味線方で、杵屋の高弟で非常に上手く、団十郎(市川段四郎)が自分が踊りやすいように手を増やしたのに憤激して、団十郎と対立してしまう。
彼は、浅草の掛け小屋で踊っている香川京子を見て、素質を見抜き、彼女に踊りと自分の三味で、団十郎を見返してやろうと決意する。
だが、香川の父親で、彼女にたかっている父親(山路義人、この悪役は非常によく、私は好きだ)が小屋に火を付けて混乱した時に、山路を刺してしまい、お尋ね者になり、地方に逃亡する。
博多で、銭に窮した高田が、自分の三味を質に入れるが、取り戻そうとすると、高田を追ってきた香川京子が受けだしていたことを知り、香川を追って江戸に行く。
この辺のサスペンスは面白く、さすがに井手雅人の脚本である。
最後、江戸にもどり、高田と段四郎は和解し、彼の三味で、『勧進帳』を踊るが、高田は、その最中に死んでしまう。
高田の師匠の杵屋が、市川小太夫で、さすがに上手い。
私は、昔から高田浩吉が好きだが、ここでも良さに感心した。
松竹時代劇の拡張の高さが最大の良さであることを認識した。
コロナ以後で、初めて行ったが、国立映画アーカイブは、少し様子が変わっていた。
入口の大きなカウンターがなくなり、全部で椅子が減らされていた。