ヴァネッサ・レッドグレーブが出ていた　『ミラル』

「映画に見る中東戦争」で、『ミラル』を少し見たが、1947年クリスマスがレバノンのホテルで行われるシーン。
タイトルにあったように、ヴァネッサ・レッドグレーブが出てきた。
この1947年は、翌年に第一次中東戦争が始まる直前の時期だが、ホテルでは普通のクリスマスが祝われていた。
キプロス島などにいたユダヤ人が、地中海からパレスチナの海岸に上陸し、1948年3月にイスラエル建国を宣言する。
ただちに周囲のアラブ諸国が攻め込み、中東戦争になり、劣勢のイスラエルが勝利し、この時からパレスチナ難民が生まれる。
これをアラブでは、ナクバと言い、破局、災厄の意味であり、今日までパレスチナ人は、ヨルダン川西岸地区とガザ地区に閉じ込められている。
このイスラエル・パレスチナ問題は、言うまでもなくユダヤの金の力によるが、もう一つ欧州の「贖罪意識」があると思う。
近代以後、欧州のスペイン、フランス、ドイツ、そしてロシアでは、キリスト教徒によるユダヤ人迫害があり、これを解決するために、ユダヤ人を欧州以外のエリアに出したいという潜在意識があったのだと思う。

この『ミラル』という映画は、1948年のイスラエル軍による「デイル・ヤーシ村」虐殺等で親を失った孤児らを自己の邸宅に保護し救済した女性を主人公にした作品なのだそうだ。
彼女は、パレスチナの名家の生まれだとのこと。パレスチナにはいくつかの名家があるが、彼らの中には戦時中ナチス側に立った人もあり、その意味でもユダヤ側には反感があるのだとのこと。
ＰＬＯのアラファトも、彼らの末裔の一人だそうで、事は複雑である。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

ヴァネッサ・レッドグレーブは、イギリスの名女優で、父はヒチコックの『バルカン超特急』にも出た名優マイケル・レッドグレープである。
私が彼女を最初に見たのは、映画『裸足のイザドラ』だが、一般的には『ジュリア』でのジェーン・ホンダとの共演が有名だろう。
彼女は、本来は舞台女優で、私はロンドンで漢書の主演の劇『マッドマン・イン・ゴア』を見たことがある。
また、彼女は過激派で有名で、様々な活動をしている。
そうした活動の上に、『ミラル』への出演もあるのだろうと思った。