『ボブ＆キャロル＆テッド＆アリス』

1969年のポール・マザースキー監督作品。
ナタリー・ウッドとロバート・カルプが、山中の研修施設に行く。そこは、コンミューンのようなところで、ヌーディㇲトのような連中もいる。
室内で、講師の語りで、自己解放セミナーが行われていて、ナタリーもロバートも自己を解放することに成功し、幸福を得る。
ロスのレストランで、二人は友人の弁護士エリオット・グールドとダイアン・キャノン夫妻と食事し、これも楽しい時間になる。

　　　　　　　　　　　　　　　　

ロバートは、記録映画監督で、サンフランシスコに行った帰り、自宅に戻った時、録音の助手の女とセックスしたことを告白する。
セミナー以後、互いに一切の嘘は付かないと決めたからだ。
だが、これが二組の夫妻に大きな枷を与えることになる。
弁護士のカルプが仕事で疲れた帰り、妻とセックスしようとするが、ダイアンは疲れていて拒否し、カルプも散歩に出ようとするが、最後は性交に至るようで、このやり取りは非常に面白い。
そして、4人はラスベガスに行き、互いの好奇心から、スワッピングになる。
翌日4人は満ち足りた表情でホテルを後にする。

だが、この「フリーセックス宣伝映画」は正しいだろうか。
1960年代、家族は崩壊し、共同体のようなつながりになるのではないかと思った人たちはいた。
日本でも、寺山修司が映画『書を捨てよ、町に出よ』の中で、平泉征に「家族はなくなり、共同の生活になるのでは」と言わせている。
だが、そんなことには日本はおろか世界もならなかった。
なぜか、ゴリラと同じ家族生活から進歩した人類は、家族を捨てられず、また夫婦の性交を他人に見せないために、近親相姦を最大のタブーとしてしまったからだそうである。