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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『女人哀愁』

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1937年の成瀬巳喜男作品、PCLと入江プロの映画になっている。
書店員だった入江たか子は、母親の言われるままに裕福な家の北沢彪と結婚する。

                        

だが、ほとんど女中状態で、しかも北沢は、毎日午前様である。いつもは温厚な善人役の北沢が悪役なのが珍しい。
ここで興味深いのは、ジャズでダンスが出てくるが、入江の家では、手回しの蓄音器、北沢の家では、電蓄でレコード(もちろんSP盤)を掛けていることだ。
戦前でも、裕福な家や店舗では電気蓄音機が普及していたわけで、蓄音器というとラッパ型蓄音器を出すのは大間違いなのである。

最後、北沢の妹・沢蘭子の愛人・大川平八郎とのトラブルで、一家の冷たさを知って、入江たか子は、自立を決意する。
戦前の華族出のお嬢様の女優入江たか子が、貧困ではないにしても、普通の家の女性を演じるのは少々違和感がある。

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